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毎日ちょっとずつ研究したお菓子を作り、来てくれる人達にご飯を作り。そんな日常が私の周りを構成していく。
｢Aっ！｣
｢わっ……どうされました？お嬢様｣
絵本の中の王子様のように、胸に飛び込んできたエリス嬢の手をそっと取る。
｢ふふ、Aってばリンタロウよりも紳士だわ｣
｢恐縮です。あ、ちょうど良かった！今お菓子を焼いたんです｣
｢本当！？｣
｢よろしければ、アフターヌーンティーをご一緒に、なんて｣
｢もちろん！｣
高い椅子の上にエリス嬢がちょこんと座る。外国のお人形さんみたいでとても可愛い。
｢美味しい！｣
｢良かった〜｣
｢ねぇ、A｣
｢はい？｣
エリス嬢専用のティーカップに紅茶を注ぎながら、耳を傾ける。
｢恋してるでしょう？｣
｢はい！？｣
ティーカップに注いでいた紅茶が勢いを付けて盛大に溢れ返った。動揺した私を見てエリス嬢はくすくすと笑っている。
｢ウキウキしてるもの。声も表情も……顔色だって前よりずっといいわ｣
｢そ、それは……｣
｢自覚はあるの？｣
｢え……と、その……｣
｢隠し事はダメよ？A｣
ずいっと顔を近付けられ、答えざるを得ない状況になってしまった。目をサーっと逸らしてもとびっきりの笑顔であざとく見つめてくる。
可愛い。まるで妹ができたみたい。
ぼーっと考えていると、手元にあった布巾で紅茶を零した時に少しだけ濡れた私の服を拭いてくれた。
｢オダサクも素敵だったけど、いつまでもAを縛ってるじゃない？｣
｢そんなことはっ……！｣
｢オダサクを追いかけ続けるのも一途でいいと思うけど、目の前の恋から目を逸らすのも辛いでしょう？｣
綺麗に笑いながら言われた言葉が、ぐさりと心臓に刺さった。
｢恋は人を変えるわ。Aがどんな風に変わるのか、楽しみにしてる！｣
ごちそうさま、と微笑んで走って行ってしまった。その後ろ姿は小さいけれど私よりもよっぽど大人っぽくて、自分がとても情けなく思えた。
織田作のこと、まだ引きずっている自覚はある。
恋に恋をするように、惨めったらしく思い出に縋りつく。
……それだけだったら良かったのに。
頭に浮かぶ漆黒のコート。ほぼ蒼白に近い顔色にほっそりとした肢体。
｢好き……？｣
心に問いかけてみても当然答えは返ってこない。チクチクとしたこの痛みが恋というのなら。
いつまでも目を逸らし続けることは……できないのかもしれない。
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さくら餅(プロフ) - 紅玉さん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございました！無事完結させることができて心底ほっとしております。私は貴方様のコメントにギュンギュンしました！笑本当にありがとうございました！！ (2021年2月7日 15時) (
レス) id: 0223a8e0a3 (このIDを非表示/違反報告)
紅玉 - 完結おめでとうございます！！！！尊いのと可愛いので私はギュンギュンしまくってました！！！！(ギュンギュンとはキュンキュンの進化系です！！！！) (2021年2月7日 12時) (レス) id: 835185f078 (このIDを非表示/違反報告)
(=^・^=) - 人虎に会いたい…。 ｂｙ芥川 (2020年12月1日 15時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
(=^・^=) - 厳しいわ。 (2020年12月1日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
さくら餅(プロフ) - ☆天香☆さん» ありがとうございます！！すっごく嬉しいです！文ストはキャラクターひとりひとりが個性的で大好きなので、つい絡ませちゃいます笑コメントありがとうございました！！ (2020年3月12日 21時) (レス) id: 0223a8e0a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら餅 | 作成日時：2019年10月4日 16時
