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一瞬ヒヤリとした空気はすぐに春風で消えてしまった。芥川くんが何を思って、何を言おうとしたのかは結局分からないまま。



横目で様子を伺っても、いつも通り澄ました綺麗な顔で歩いているだけ。



何となく、モヤモヤが残って。少し歩いたらすぐに目的地に辿り着いてしまった。



一週間分の調理に必要な材料を芥川くんと協力してかき集め、不意に思い出す。



「そうだ、中也さん風邪引いたんだよね。じゃあこれも追加で……」

「土産物ですか?」

「それもあるけど、今日は元々お粥にしようと思ってたから」

「粥……ですか」

「そう。今日のレシピはズバリ!春の七草粥ー!!」



食への興味があまりなさそうな芥川くんは、聞いたことはある、と相槌を打つ。



「あれ、もしかして食べたことない?」

「あまり……そのようなものは」

「そうなの!?じゃあ、軽く説明するね」



ご清聴ください、と冗談ぽく笑って咳をする。芥川くんは少しだけ口元を緩めた。こういう顔は……ちょっと可愛いかも。



「春の七草粥とは、本当なら一月七日に無病息災を願って食べるの。今日は四月でなんの関係もないけど、それは単純に私が食べたいだけです!」



あと、中也さんの風邪にもいいと思うし。心の中で付け足した。



「春の七草は……芹、薺、御行、 繁縷、仏の座、菘、蘿蔔。この七つだよ」

「博識なのですね……」



芥川くんから尊敬の眼差しを貰って苦笑いする。



「本当はスイーツ専門のはずだったんだけど……何年か前にほんの出来心で出したカレーが妙にウケちゃって……。料理の研究もするからね」

「パティシエなのでは……?」

「私も前まではそのつもりだったし、今でも何となくそう名乗っちゃうんだけど……一応ボス公認でれっきとした料理人よ」



そう、私は料理人だから。



君が美味しく楽しく食べられるようなものを作りたいと思ってる。



「だから……いつか絶対、おかわりって言わせてやる」



ボソッと呟いた言葉は聞こえたのか、聞こえなかったのか。



まぁ、どっちでも。



どっちでもいいかな。今は。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 芥川龍之介 , 文スト   
作品ジャンル:恋愛
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さくら餅(プロフ) - 紅玉さん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!無事完結させることができて心底ほっとしております。私は貴方様のコメントにギュンギュンしました!笑本当にありがとうございました!! (2021年2月7日 15時) (レス) id: 0223a8e0a3 (このIDを非表示/違反報告)
紅玉 - 完結おめでとうございます!!!!尊いのと可愛いので私はギュンギュンしまくってました!!!!(ギュンギュンとはキュンキュンの進化系です!!!!) (2021年2月7日 12時) (レス) id: 835185f078 (このIDを非表示/違反報告)
(=^・^=) - 人虎に会いたい…。  by芥川 (2020年12月1日 15時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
(=^・^=) - 厳しいわ。 (2020年12月1日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
さくら餅(プロフ) - ☆天香☆さん» ありがとうございます!!すっごく嬉しいです!文ストはキャラクターひとりひとりが個性的で大好きなので、つい絡ませちゃいます笑コメントありがとうございました!! (2020年3月12日 21時) (レス) id: 0223a8e0a3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さくら餅 | 作成日時:2019年10月4日 16時

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