赤い糸22 ページ22
「あれ、モブくん?」
学校からの帰り道。今日はバイトが休みで久々に早い時間に帰宅できるからと少し寄り道していたら、バッタリモブくんに会った。
「こんにちは」
丁寧に会釈をする姿からは中学生とは思えない礼儀正しさを醸し出す。
「部活帰り?」
「はい。Aさんはお店のお手伝いですか?」
「ううん。今日は寄り道。一人だけどね」
「そうですか」
柔らかい微笑みにつられてつい頬が緩む。
「師匠のところへは、行かないんですか?」
その一言に、その笑みが引きつるのが自分でも分かった。鼓動が速くなり、胸が軋むような感覚。
事務所に行かなくなってから、一週間ぐらい経っただろう。
会わなかった時間が重なっただけ、次会う時の気不味さが深くなっていく。
気不味さが先立って、足がすくんで逃げ出してしまう。
そんな日々が重なってしまって、未だ事務所に顔を出せていない。
「モブくんは?モブくんは行かないの?」
質問に質問で返す、陳腐なやり方。
ごめんね。弱い私を許して、モブくん。
「そうですね……少し、師匠からは距離を置くことにしていて」
「……なにか、あったの?大丈夫?」
「いえ。喧嘩とかではなくて、今までちょっと師匠に頼りすぎていた所があったような気がして、少し自分のやりたいこと考えてみることにしたんです」
「そっか。それなら良かった」
モブくんも、色々悩んで考えてこうしたんだろう。霊幻さんも成長を喜んでくれてるといいな。
「モブくん、私と少し寄り道していかない?美味しいもの食べていこうよ。奢るから」
「え……いいんですか?」
「遠慮しないの。何食べたい?焼肉?ハンバーガー?牛丼?」
「じゃあラーメンが、いいです」
「うん!」
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さくら餅(プロフ) - 抹茶さん» ありがたいお言葉頂けて光栄です!!もどかしい時間が長かった分、きっと未来では二人で幸せに暮らしてます! (2019年9月2日 19時) (レス) id: d6eb335a4b (このIDを非表示/違反報告)
抹茶(プロフ) - とっっっっても面白かったです!!未来の2人が幸せに暮らしているところが自然と思い浮かびます! (2019年9月2日 19時) (レス) id: b5b208b71b (このIDを非表示/違反報告)
さくら餅(プロフ) - ただのアニメ好き☆さん» コメントありがとうございます。嬉しいです!応援は執筆の力になりますので頑張ります( ´∀`) (2019年5月2日 15時) (レス) id: d6eb335a4b (このIDを非表示/違反報告)
ただのアニメ好き☆(プロフ) - この作品もお話とっても素敵です!作者様の事陰ながら応援しています!体調に気をつけて無理をなさらずに更新頑張ってください! (2019年5月2日 15時) (レス) id: 4ee9350697 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら餅 | 作成日時:2019年5月2日 12時