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赤い糸13 ページ13

モブくんに教えてもらった、霊幻さんのマンション。広くはないけれど、インテリアもそんなにこだわった様子もない殺風景な空間なのが霊幻さんらしくて落ち着く。


インテリアらしいものも、観葉植物くらいだ。


「(それにしても、外食が多いとは思ってたけどさすがに不健康だよなぁ)」


若干呆れながらもお味噌汁とお粥に火を通す。ここのキッチンは割と使いやすいかも。料理しないなんて勿体ない。


「霊幻さん、もう少しでできますよ?」


ありがとう、と言った通りにジェスチャーしてくれる。いつも通り動きがうるさいけれど。


でも、思ったよりも元気そうで安心した。モブくんが行った時は寝込んでいてうなされていたらしいから。


「よしっ」


パチン、とコンロの火を止めてお味噌汁とお粥をお椀に入れる。湯気と共にやってくる香りが食欲をそそる。


「霊幻さん、できましたよ」


ニコリと笑ってお盆に乗せたご飯を見せると、再度ありがとうのジェスチャーが返ってくる。


「食べられますか?というか手間かけて作ったので食べないと怒りますよ?……ふふ、冗談ですよ」


声が出ない代わりにコロコロ変わっていく表情が面白い。


普段は口がよく回る上に動きも表情も豊かだから、全部見るのが追いつかないけれどこうやって一つできないことができると一つのことに注目してその人を見ることができる。


改めて、この人は面白いと感じた。


「ここに置いておくのでゆっくり食べてくださいね、時間遅いのでそろそろ帰ります。何かあったら連絡ください、走っていきます」


《大丈夫、ありがとう》


ジェスチャーを確認して、玄関へ足を運ぶ。少し名残惜しさも感じるけれど私は学生だから帰らなくてはいけない。


「戸締り、きちんとしてくださいね」


大きな声出しちゃうと頭に響くかな、なんて思ってももう声を上げた後で手遅れだ。


まずいと思ったけれど霊幻さんは気にした様子もなく手を振ってくれた。


無理しないで寝てて良いのにな。優しすぎるよ、この人は。


「明日には……風邪治ってるかな」


治った後にごめん、って謝ってありがとうって笑う姿を想像してふっと笑っう。


明日には、霊幻さんの声が聞きたいな。

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設定タグ:モブサイコ100 , 霊幻新隆 , 恋愛   
作品ジャンル:恋愛
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さくら餅(プロフ) - 抹茶さん» ありがたいお言葉頂けて光栄です!!もどかしい時間が長かった分、きっと未来では二人で幸せに暮らしてます! (2019年9月2日 19時) (レス) id: d6eb335a4b (このIDを非表示/違反報告)
抹茶(プロフ) - とっっっっても面白かったです!!未来の2人が幸せに暮らしているところが自然と思い浮かびます! (2019年9月2日 19時) (レス) id: b5b208b71b (このIDを非表示/違反報告)
さくら餅(プロフ) - ただのアニメ好き☆さん» コメントありがとうございます。嬉しいです!応援は執筆の力になりますので頑張ります( ´∀`) (2019年5月2日 15時) (レス) id: d6eb335a4b (このIDを非表示/違反報告)
ただのアニメ好き☆(プロフ) - この作品もお話とっても素敵です!作者様の事陰ながら応援しています!体調に気をつけて無理をなさらずに更新頑張ってください! (2019年5月2日 15時) (レス) id: 4ee9350697 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さくら餅 | 作成日時:2019年5月2日 12時

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