中学生アプローチ【佐野万次郎】 (ページ7)

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悶々としながら帰宅した。

重い足取りでお風呂を沸かして湯船に浸かりながら今日の事を振り返っては頭を抱える。

この教師と生徒という関係で恋愛なんてあってはならない事だ。

彼は初恋の人への未練があるからその人に似ている私を好きになってしまったんだろうけど

でももしかしたら彼にとっては真剣な恋心だったのかもしれない。

ただ、彼がどんな気持ちであったとしても、相手からの行き過ぎた好意を受け入れる事は出来ない立場だし、今回の件できっと佐野くんも諦めてくれただろう。

誰も傷付かずに抱いてしまった感情を捨てさせるなんて虫が良すぎる話だ。

そうだ、これで良かったんだ。こうするしか無かったんだ。

そう必死に言い聞かせても、彼のあの悲しげな表情が頭に焼き付いて離れない。

心のモヤモヤは飛んでいってくれなくて辛いままだ。

「あー、もっと言葉選びあったやろ自分...」

浴室内は独り言がよく響く。

そしてあまりに大人気ない私に腹が立つ。

これ以上考えていると湯船の熱さと相まって頭の中が沸騰しそうだと思い、浴室を出て髪を乾かす。

経験上、こういう時は早く寝るに限る。

もうきっと佐野くんは保健室には来ないだろう。

心にぽっかり穴が空いたような気持ちのまま目を閉じた。

寂しさからか、佐野くんがいつもの様に元気に保健室にやって来る夢を見てしまった。