愛されるより、愛したい。2 (ページ1)

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31.単純　side S ページ1

家に着くと、スマホに通知が来ていた。

【高橋A さんと友だちになりました】

ふっと笑みが溢れる。

時間を見ると、あの後すぐに登録してくれたことが分かる。

そして、またニヤける。

通知はもう1つ来ていて、タップして開くと彼女とのトーク画面が表示される。

【本日はありがとうございました。あと、登録を忘れてしまい、夜遅くに申し訳ありませんでした。明日は午後出勤になりますので、カフェラテは午後の社長が都合のいいお時間で伺います。夜遅いですが、ゆっくりお休みになってください】

「ぷはっ」

缶ビールを冷蔵庫から出して、ひと口呷る。

「硬すぎだろ笑」

真面目な奴だと佐々木から聞いてたけど、ここまでとは(笑)

時計を見ると2時になる15分前。

「さすがに寝てるか…」

起こしたら悪いと思って、朝返信することにする。

彼女が目の前にいないだけで、素直に優しくできるのに…

目の前にいると

彼女を独り占めしたい、支配したい気持ちに駆られる。

自分でも重いなと思って苦笑する。

それに、智くんが遠慮してるのも分かってる。

彼女に出会ったのは俺が先

彼女と話したのは智くんが先

仲良くなったのも智くんが先だ

彼女は智くんのような人がタイプだろう。

見てると分かる。

俺とは真逆だ。

だから、2人が仲良くしているのを見ると焦る。

焦って裏目に出てるのも…

「はあ…」

いろいろ考え出したら、せっかくの彼女からのLINEの喜びが薄れてしまう。

「シャワー浴びるか…」

残っていたビールを呷って、シャワーを浴びに行く。

明日は彼女は午後からか…

それまで気怠い会議と面倒な書類確認でもして待っていよう。

彼女に会えるだけで、頑張れるから俺も単純な男だな(笑)

自虐的になるが悪くない。