ヤンデレホストと愛され黒服ちゃん【実況者】 (ページ5)

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仏の顔も三度までページ5

『A出勤しました』

今日も昨日と変わらぬ景色を眺める。まだ通常照明だけで満たされたここは、ホストクラブとはまた別の闇を感じる

昨日と少し違うところと言えば、面子が増えたところだろう。風邪で欠勤しがちな幹部の1人、オスマンさんが、今日は珍しく出てきている

...きっと今日は忙しくなるだろう。

『オスマンさん、風邪、大丈夫でしたか』

オスマンさんは片眉をひょい、と上げる。これは何か不意をつこうとしている時のオスマンさんの癖だ。

os「風邪なんか引いとらんよ？休みとーなったから、休んだだけ」

『知ってます』

その自由な性格は、ここの従業員の誰よりも私が知っているという自負がある。昨日の風邪の演技も、とてつもなくわざとらしかった

『それよりもオスマンさん、この前のタワー、凄かったですね、あれ幾らくらい掛かってるんですか？』

os「あぁ、六百万かかっとるらしいけど、全部掛けやで」

『六百万掛け！？』

掛けとは、まあ、簡単に言うところの借金、ツケだ。逃げられることも多いので、六百万なんて、余程の信頼がないと掛けに出来ないはずなのに

『そんなに信頼できる方なんですね』

os「んーん、タワーの時が3回目」

『タワーの時が3回目！？』

あまりにも早すぎる。普通、何度かご来店になった方がヤット少額掛けられるのに、3回目で600万...ちゃんと払っていただけるのだろうか

『あの...お支払いは？』

os「ん？まだやけど」

タワーは3ヶ月前...もしかして、逃げられるのでは...

歴の長い私の直感が、警鐘を鳴らした。これはダメなパターンだ、今すぐ忠告しろ、と

『あのー、オスマンさん、御手数ですが...』

ak「Aちゃん、開店！」

『あっ...申し訳ございません！』

開店準備が終わり、姫が続々とやってくる。オスマンさんと、何を言おうとしたのかも忘れ、だべっていると、突然空気が変わり、表情が固まる

『オスマンさん...?』

os「あの子や」

指が指し示した先には、受付をしている、ロングの清楚系な女の子...姫様が居た

『六百万掛けしてる方...?』

名前は小町明奈と言うらしい。とにかく、注意深く見ていなければ。こちらに気づいたようで、受け付けの係員の言葉も聞かず、こちらに駆け寄ってくる明奈様

an「あ、マンちゃ〜ん！...あれ、その女の子、誰？」

厳しい視線が飛んできた。どうやら、また厄介事に巻き込まれそうだ