万事屋 ページ6
あれ?
首を傾げるが、何も起こらない。
ただ風景がちょっと、傾くだけだ。
先程の活気のある町と、この町は雰囲気が少し違う気がする。
……活気がある事にはあるけど、活気って言うのかこれは…?
あたりを見渡してみると、同じ文字が幾つもある事を発見。
「スナック」
あれ?おかしいぞ?
もしかしていかがわしい感じのところに入っちゃったかな?
いやいや、江戸にそんな所はない、と謎の確信を持ってまた歩き始める。
上を向きながら歩いていくと、今度はまた違う文字。
「万事屋」
…万事屋……
………万事屋?……
「あった…!」
そうだ、万事屋!確か何でもしてくれるお店!
もう何でもいいから早く帰りたい、という気持ちが喉から出そうだ。
期待を胸に呼び鈴を鳴らす。
ぴーんぽーん
……
…あれ?
ぴーーんぽーん
……あれれ?
返答なし。
そして三回目の呼び鈴を鳴らそうとしたその時。
「おーいィ新八ィ誰か呼んでるぞォ」
気だるそうな声が響いてきた。
そしてもう一言。
「銀さんには自分で出るっていう概念が無いんですか…」
と、呆れ気味な声。
「今でますね!ちょっとお待ちを!」
「あっ、客アルカ!?アタシが出るアル!!!!」
「あぁっ!神楽ちゃん!」
んん?なんだか騒がしい所だなぁ。
「いらっしゃいアル!!!!」
と勢いよくあいた戸から出てきたのは朱色の髪の女の子。
「ひッ!」
し、しまった。また変な声が出たぁ…
1人で後悔しているとその女の子は
「女の子アル!銀ちゃん女の子アルヨ!!!!」
と大声を出した。
え?え?戸惑いしかない。
「えと、あの…」
眉間にシワを寄せていると、出てきたメガネの男の子は申し訳なさそうに口を開く。
「ゴメンなさい、うるさい所で…気にしなくていいですから。」
よかったら上がってください、と笑った。
「では、遠慮なく。」
早くアル!と急かす女の子。
靴を脱いで1歩、踏み出す。
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作者名:師走 | 作成日時:2017年1月29日 20時