重大ニュース ページ2
「おーい!那月姉ちゃぁあん!!!!」
村をほっつき歩いていると、聞きなれた声と声量がこちらに向かって来た。
全く、鼓膜が破れるくらいの破壊力だ。
「…うるさいヤツだなぁ、何もそんなに大声を出さんでも良かろうに。」
「違うんだよ!重大ニュースなんだってば!!」
必死な顔になって説明しようとするこいつは夕朔、私の実の弟にして剣術の弟子だ。
重大ニュース?と聞き返せば、首を上下にぶんぶんと振り、
「そうそう!姉ちゃんを呼んでこいって長老様と父上が言ってたの!」
長老様と父上が…?それはそれは大事だろう。しかし其の内容がわからん。
「…して、夕朔。其の内容をお前は知ってるのか?」
膝立ちでしゃがみ、夕朔と目線を合わせる。肩を掴んで目を見て見ると、
「ううん、それは知らないんだ。でも、長老様と父上が呼ぶんだったら相当の事なんだろうなって思って!」
と笑った。
「それはいい判断だ。流石増田家の息子だな。」
頭をぽんぽん、と撫でるとまたもやにひひ、と満足気に笑う。
「そうだな、よっぽどの事だろう。…よし、姉ちゃんは今から本家に行ってくるから、夕朔は大人しく待っていなさい。わかったね?」
「うん、わかった!俺家に戻ってるね!」
叫びながら手をぶんぶん振って走り去っていった。
なんて風のようなヤツなのだろう、なんて思いながら先ほどの話を思い出す。
……しかし、長老様がお呼びとはもしかしたら村の事かもしれない。
小さな村だ。存続も危ないのは承知の上なのだが…
やはり故郷が無くなるのは寂しいものだ。
急がなくては、と体を本家に向けて歩き出した。
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作者名:師走 | 作成日時:2017年1月29日 20時