日常8:ゴリラじゃない ページ9
「っちょっえ!?」
吹っ飛ばされた男は当然のように近くにいた私に倒れこんでくる。男の全体重を全身に受け止めながら私は地面に尻もちをついた。
「いたた……っ」
「て、てめェさっきの…!!」
私は気絶している男を退け、地面にぶつけた腰をさすりながら顔を上げる。
「……危ねェですよ」
「っお前がな!!!!」
総悟だった。総悟は自分が男を蹴飛ばし、そのせいで彼女が吹っ飛んだことなどもう忘れたかのような顔で地面に転がる私と男を見下ろしていた。
「たく、命知らずもいいとこでさァ」
「……え」
もしかして、助けに来てくれたの……?私のことを心配して……?
総悟、あんたってやつは本当は優し…。
「お兄さんたち、この女の金●蹴り食らったら昇天しやすぜ」
「ってこいつら助けにきたんかい!!」
尻餅をついたまま総悟に怒鳴る。
やっぱりな!そういうこったろうと思った!!ちくしょう!!
「てか女が金●蹴りとか正気じゃねェ……!!」
「てかもう帰ろうぜ!?ナンパなんかもうしねェ……!!」
そう言いながら、男達は逃げ帰るように走っていった。私たちの周りは嵐が去ったかのように静まり返る。
「…………女がスカート履いて足技なんか出すんじゃねェ」
「え……」
一応手を差し伸べてくれる総悟。その手を借りて立ち上がると総悟がぼそっとそう呟いた。
まさか、総悟が私のパンツの心配を……?
いやいやそんなわけ…………いやでも私こんな扱いでも一応彼女だし実は本当は助けに来てくれて……?
「だからお前はゴリラなんでィ」
「……」
ブチッと頭の中で何かが切れる音がした。
「ゴリラじゃないっつってんだろうがァァッ!」
学校の前。みんなが見ている中、喧嘩が始まる。
でもこれが私たちの日常。
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作者名:さくらんぼ | 作成日時:2018年6月19日 7時