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日常37:急いできたの? ページ38

「え、あーいや待ち合わせて……」
「友達?来るまで俺らと遊ばね?」
「や、友達というか……あ、電話切りやがったあの野郎」



通話が切られたことに気がついた私はスマホを乱暴に巾着袋の中に突っ込む。



「なに?彼氏?すっぽかされたの?」
「いや遅れてて……」
「ちょうど良いね。俺らもすっぽかされてさ」
「は?いやだから」
「かき氷食べる?あ、男女で浴衣着ていったらクレープタダらしいし出店行かない?」




何こいつら日本語通じない。
断っているのになぜだかぐいっと肩に腕を回してくる男。


え、なにこれ。やだこれ。



「ちょ、マジで離して……」



蹴ってやりたいけど……せっかく浴衣着てきたんだ。クレープのためでもあるけど……。






それ以上にちゃんと綺麗な格好を総悟に……。





「俺の連れになんか用かィ」
「!」




聞き覚えのある声。
やっと来たか。遅すぎるわこのドS馬鹿。


安堵するよりも先に苛立ちを覚える私。
1発ぶん殴ろうと声のするほうを振り向く。




「!?!?」
「何ほんとにナンパされてんでィ」




そこにはいつもと違う雰囲気をまとった総悟が立っていて私は思わず言葉を詰まらせてしまう。




「……え、ゆ、浴衣……」
「あ、じゃ俺たちはこれで……」




ばつが悪そうにそそくさと逃げていった男達に気が付かないくらいに私は総悟に見とれてしまっていた。




浴衣……着てきてる……。



濃い緑の浴衣を着ているだけ。それ以外はいつも通りなのに……。




「何見てんでィ。見とれてんのかィ」
「……いや、なわけ」




図星をつかれ、なんとなくムカついたのであっさりそれを否定してやる。その時、総悟の息がなぜだか少しだけ上がっていることに気がついた。




「もしかして急いできたの?」




いつも遅刻してもゆっくりゆっくり歩いてくるのに。
え、もしかして私が絡まれてたから……?

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作者名:さくらんぼ | 作成日時:2018年6月19日 7時

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