日常18:無理 ページ19
ボスンッ!
「いて」
回るのをやめた途端、総悟の頭にドッジボールくらいの大きさのボールが当たり、下に落ちた。
「……なにしやがんでィ」
総悟の目線の先。つまりボールが飛んできた方向にいたのは純くんという男の子だった。
私に対しては凄く素直でいい子なんだが、他の子に対しては少しツンケンしている男の子。
「じゅ、純くん!ボール人に投げちゃダメでしょ!」
「ねーちゃん、そんなやつと遊んでないでこっちきて」
そう言って走りながら部屋の奥へ行ってしまった。
人にボール当てるようなことしなかったのに……。
「なんだあのガキ。殴っていいですかィ?」
「だ、ダメに決まってんでしょ!!」
総悟は男の子達を下ろすと、純くんの後を追って行った。
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純くんのあとを追い、部屋をこっそり覗く。
開けた窓からさらさらと緩やかな風が部屋の中に入り込んできている。その窓際で純くんは1人で遊んでいた。
「ここで待ってろィ」
「え、うん……」
総悟は私を残し、純くんに近寄っていく。
「……なんだお前か」
総悟の存在に気がついた純くんは1度総悟を見るとすぐに視線を自分の手元に移してしまう。
「1人でなにやってんでィ」
「……見てわかんねーのか?パズルだよ」
純くん態度悪っ!大人が好きなのかと思ってたけどそうでもないみたい……。総悟の心の黒さが滲み出てるからかな……。
おっと、総悟がこっち睨んでる……。てかなんで考えてることわかるんだ。
私はそのまま2人のやりとりをはらはらと見守る。
「みんなあっちでおやつ食ってやすぜ?いらねェのか?」
「いらないよ。……そのかわりに……」
今まで下を向いていた顔を上げ、総悟を見る。
「桜ねーちゃんちょうだい」
「無理」
そ、即答……。てかなんで私!?総悟も、無理って……。
なんか、こんな時にアレだけど……無理って言ってくれたの嬉しいかもしれない。「勝手にもってけ」とかいいかねないもんな。うんうん。
「……お前もうあっち行けよ。何しに来たんだよ」
「年上をお前なんて言い方すんじゃねェ」
「うるせェ!」
その瞬間、庭の方からカキーンッと音が響いてくる。誰かがボールをバットで打った音だった。
「あっやべェっ!!」
「っ純くん!あぶない!!」
「え」
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作者名:さくらんぼ | 作成日時:2018年6月19日 7時