日常15:何?嘘でしょ? ページ16
「中、もう一個あんだろィ」
「はぁ?」
半ばヤケクソになって中を見てみると確かにあった。もうひとつ、ピンクのリボンが付いた小箱が。
「今度は何。チンパンジーのキーホルダーかなんかですか」
「ちげェって。今度はマジだって」
もう騙されない。私は総悟を疑いの目で見ながらリボンを解き、その小箱を開けてみた。
「な……」
中には黒いクッションみたいなのが敷き詰められててその中心にちょこんと小さなハート型のピアスが二つ、寄り添って入っていた。
「こ、れは……」
…………総悟、疑ってごめん。何コレ。めっさかわいい。何?嘘でしょ?信じられない。
「女が喜ぶもんなんかわかんなかったんで。気に入らねェなら捨てるなり売るなりしてくだせェ」
「……」
ぶっきらぼうにそんなことを言う総悟。アホなんじゃないかと思う。
「っうあ……」
「え、なに」
この喜びというか、嬉しさというか……なんとも言葉にしにくい感情をどうすることも出来ず、私は総悟の右手をとって固く握手をした。
「……だからなんで握手?お前は政治家か」
「この嬉しさをどう表現したらいいのやら……わからなくて」
「いやそこは抱きついてこいよ。かわいくねェな」
「こうですか」
そう言われ、私は躊躇いなく総悟の細くも太くもない腰にぎゅむっと抱きつく。
人の視線が少し気になったがもうどうでもよかった。
「……ヤケに素直じゃねェか。なに企んでやがる」
「別に何も」
私は思い切り総悟の服に顔を押し付ける。そして小さな小さな声でこう呟いた。
「………………ありがとう」
「………あーなんか幻聴聞こえた。さっさと帰って寝ねェとやべェな」
「そうだね。幻聴怖いね。さぁ帰ろう」
そう言いながら自然に繋がれる2人の手。
妙ちゃん、もちろん総悟も。
素敵な誕生日プレゼントをありがとう。
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作者名:さくらんぼ | 作成日時:2018年6月19日 7時