増田くんとカノジョ【NEWS】 (ページ6)

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5. 幸福って。ページ6

(2011.12)

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"初恋"

その言葉を聞いて思い出すのは、小学生の頃の話だ。
母の仕事について行った時に会った年上の男の人。

その人とはたった一週間ぐらいしか会わなかったから
それが恋だったのかは分からない。

だけど、ただ好きだった記憶は明確に覚えている。

喜んでほしくて沢山話しかけたり。
遊びに誘ってみたり……気を引くのに必死だったなぁ。

名前も覚えてないし顔もよく思い出せない。

覚えてるのは、ただ「好きだった」という事だけ。

『小学校の頃。……知らない男の人だった』

「うっそ、それも？」

『今思うと吃驚だよね、』

何で好きだったのか、どこが好きだったのか……それもよく覚えてない。

私って、どうやって好きになったんだろう。

考えた所で心に何かが引っかかった。

『何で……好きだったんだろ、』

「A、何か鳴ってるよ？」

『え？』

ももちゃんに言われてケータイを見ると、マネージャーさんから着信が来ていた。

『ちょっと出てくるね』と断りを入れてから昼休みで騒がしい教室を抜け出す。

『も、もしもし？』

"もしもし？今大丈夫でしたか？"

『大丈夫。どうしたの？』

ケータイの向こうから車の走る音が聞こえる。

もしかして今、外にいるのかな。

"この前、楽曲提供したKAT-TUNの新曲がオリコン首位になったそうですよ！"

『えっ、ほんと？』

"それでお礼にってKAT-TUNさんからCD預かってます！今日ジャニーズ事務所に行って貰ってきました！事務所の方も、今度は別のグループにもお願いしますって言ってらっしゃいましたよ！段々とAさんの実力が評価されてきて嬉しい限りです……！"

そっか……。
そんな風に言って下さったなんて嬉しすぎる。
レコーディングも見させて頂いたり、今回の作品は私も勉強になった事が沢山あった。

作詞作曲を一人でやったのは今回が初めてだったから、それなりに不安もあったし………。

『有難う。一つ一つ、積み重ねていかなきゃね』

"はい！頑張りましょうね！！"

『………うんっ』

胸がいっぱいで涙が出そうになった。

心が幸福で満たされたような、そんな感じ。

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