22. 照れ屋さん。 ページ23
(2011.12)
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優しく弾く弦の音が屋根のおかげで反響して、より心地よく響く。
人差し指を懸命に伸ばして弦を押さえるお兄さん。
何だか危なっかしくて思わず手の伸ばした。
『左手はもっと握った方がやり易いかもです。』
「ん？こう？」
『あっ、そうじゃなくて………手の腹を下にして支える様な感じで、』
「！」
正面に居たけど上手く説明出来なくて、お兄さんの後ろに回って左手に自分の手を重ねた。
一瞬だけお兄さんが驚いた表情を見せた。
丸い目が少しだけ見開いて。
何でかなって思った後に、その状況をよく考えると全身が熱に侵されていくのが分かる。
『あっ、ご、ごめんなさい……！』
「えっ、あ、俺こそ……」
『すみませんっ、軽率に、』
「ううん。大丈夫、」
やっぱりお兄さんも気付いてたのか少しだけ恥ずかしそうに俯いた。
その仕草に私まで恥ずかしくなってしまって、思わず顔を手で隠す。………自分があまりにも自然に触れていて吃驚した。どうしよう……引かれてないよね、
う……今顔見られたらダメだ。
凄い赤いと思うもん。
全身が熱いし、
「え、何で顔隠すの(笑)」
『……ナンデモアリマセン』
「(笑)めっちゃカタコトじゃん(笑)」
『……もう見ないで下さい』
「えーーそう言われると見たいんだけど(笑)」
『あ、ちょっ……！』
手で顔を隠してるのに、態々覗き込んでくるお兄さんに顔を見られまいと必死で抵抗する。
だってこんな顔見られたら恥ずかしすぎる！！
逃げ回る私の後ろをニコニコ笑いながら付いてくるお兄さんは「待ってよ〜」なんて言ってるし。
完全に茶化されてるよね！？
『イヤです！むりっ！』
「別に逃げる事ないでしょー」
『ありますか、らっ、！！』
「隙あり！！」
隙をついて私の手を取ったお兄さん。
今は顔がハッキリ見えた。……両手首を握られてしまったら、抵抗なんて出来るはずないの。
近くで交わる視線。真っ直ぐすぎて逸らせない。
「………やっと見せてくれた。」
『………っ、』
握られた手も、重なった視線も。
全身がお兄さんに支配されたみたいに言う事を聞いてくれない。
息を吸いたいのに上手く出来なくて、頭がちょっとだけぼーっとするの。まるで風邪ひいたみたいに。
「Aちゃんってホントに照れ屋さんだよね。」
『……何も言えないのが悔しいです、』
「んふふ。」
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作者名：aki | 作成日時：2020年8月27日 1時
