【ポケモン】彼女は赤い果実の味を知る (ページ6)

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53話ページ6

彼に手を引かれ、たどり着いた場所はキルクスタウンという街だ。ひらひらと白く儚く舞い落ちる雪。とても幻想的な雪景色が広がっていた。

「相変わらず、ここは寒いな。」

そう彼は言う。白い息が出ていた。

「どうして、ここに？」

そう尋ねると、彼は苦笑しながら言った。どうやら、待ち人がさっきまでいたエンジンシティに来れず、何故かキルクスタウンに辿り着いてしまったようだった。そこで、今度はこちらが行けば、待ち人は迷子にならずに無事に会うことができるらしい。……彼が不安になるほど、その待ち人は方向音痴のようだった。

街の中を歩いていると、広場に着いた。すると、そこには人が沢山集まっていた。あれは、足湯をしているのか？そう思っていると、彼は教えてくれた。

「ここは、温泉が涌き出てるんだ。ここで有名なのは英雄の湯っていう英雄が傷を癒すために使った場所として有名なんだ。」

そう言われ、納得した。観光地として有名だから、こんなにも人が沢山集まっていたのか。そう思っていたが、その考えは一瞬の内に消された。

人が集まっていた場所に視線を向けると、人混みの中に紫の髪をした一人の男性がいた。なんだか、オドオドしながらも対応している。あの人、有名人なのかな？

「おーい、ダンデ！迎えに来たぞ！」

そう思っていると、彼がその男性の名を呼んだ。それと同時に、男性を囲んでいた人達が一斉にこちらに振り向く。あれ、これは……？そう思った瞬間、すぐに彼の周りに人集りができた。えっ、彼も有名人なの？そう思っていたが、どんどん人が増えていき彼と離れていく。

「キ、キバナ………！」

助けを呼ぼうとしたが、人混みのせいで声が届かない。どうしよう……！そう思った瞬間、さっきまで人集りにいた男性が私の手を掴んだ。