98話 ページ6
「じゃあ、四皇との決戦前に緊張しているトラ男にとっておきのお呪いを教えてあげましょう！」
学校の先生みたいな口調で話してみる。台所でくるりと回れ右をすると、トラ男がポカンとした表情を浮かべているのが分かった。
「困難にぶつかった時、心が負けそうな時…
『ケ・セラ・セラ』！って声に出すと不安が吹き飛ぶんだよ」
やっぱり、声に出すと元気がでる。トラ男は私の方まで来て、私の頭を撫でる。
「何か意味がある言葉なのか？」
「『なるようになる』って意味だよ！」
これを教えてくれたのは…オラクルに来てすぐの頃だったなぁ…あの人達が教えてくれたんだ。
…
「明日は初めての神事…失敗したらどうしよう」
「馬鹿だなぁ…んな事でくよくよ悩んでるなんてさ」
「仮にも女神に向かって随分な口を利くのね。謝罪なさい」
「げ…お前そんなタイプじゃねぇ癖に、うっぜー。仕方ないね…そんな弱っちいAには…いい御呪いを教えてやるよ！
とりあえず言ってみな、『ケセラセラ』ってな！」
「けせらせら？」
「そーそー！力湧くだろ？」
「馬鹿の言葉を真に受けるのはやめときなさい、A。ケセラセラっていうのは『なるようになる』って意味…貴女は脳筋バカ女とは違うんだから、そんな脳天気な言葉は使わない方がいいわ」
「うるせぇーな！A、あんなインテリ気取りの胡散臭ェ女の言葉に耳貸すなよ？」
…
「ふふっ…」
「？」
懐かしいことを思い出せた。オラクルでの日々は何だかんだで幸せだった。それに…今私がこの世界で生き残る力を手にしているのもオラクルでの生活が大きく起因している。そういう意味では、あの日々は私にとってのターニングポイントだったのかもしれない。
「トラ男も不安な時はケセラセラって言ってみてよ」
トラ男は露骨に嫌そうな顔をした。恥ずかしいから言いたくないのかな？
「俺は
「…そっか」
ちょっと悲しい…トラ男にも折角教えてあげたのにな。でも、確かに…トラ男がお呪いみたいな不確かなオカルティックなものを信じてるのは似合わない。
「俺が言うより、女神のお前が言った方が縁起良さそうだけどな」
「な、なるほど…？」
埴安姫は土と造形の神だからあんまり関係なさそうだけど…そんなものなのかな？
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ゆう(プロフ) - とても、楽しく読ませていただいてます。また、続き読みたいです。 (2022年1月31日 15時) (
レス) @page19 id: fe95cae7da (このIDを非表示/違反報告)
あんころ(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます！ (2021年9月11日 19時) (レス) id: 8a86a2abc8 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - もう一つのｐｃを操作してます。続編おめでとうございます。 (2021年9月11日 14時) (レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんころ | 作成日時：2021年9月11日 14時
