40話 ページ43
ローside
造形屋がオラクルの王女？
あのオラクルが滅んだ？
未だにドフラミンゴの言葉は信じられなかったが、造形屋の様子を見るに事実なのだろう。
ドフラミンゴの話など聞きたくなかった。だが、造形屋のこととなるなら、話は別だ。俺が話に食いついたとドフラミンゴは気付き、話を続けた。
「8年前のことだ…
ある日突然オラクルにある女が王女の位についた。
ここ何百年も誰も王も王女も居なかった国にだ…
それを聞いて直ぐわかった。その王女は異世界人であるとな…
王女の力で荒れ果てた国は瞬く間に、他国と引けを取らない国に姿を変えた。
その年はちょうどレヴェリーのが行われる年だったんでなァ…噂になっていたよ。
しかもその王女さんがレヴェリーに参加するらしかったからな…
俺も興味が湧いた」
ドフラミンゴは懐かしむように話した。造形屋がオラクルの王女で異世界人？気になることはまだまだあるが、ドフラミンゴは話を続けた。
「予想通り、王女は異世界だったが…ガキだとは思いもよらなかった…だが今じゃあ、いい女になったもんだ…フッフッフッ」
殺意を覚えたが、その感情を今表に出すわけにはいかない。弱味だと知られれば、奴は必ず彼女に何かするに違いない。俺のせいで彼女に被害が及ぶことだけは避けなければならない。
ドフラミンゴは俺の元から造形屋の元へと歩き出した。
「俺ァ残念だよ…オラクルが滅んじまったのが…」
「よくもまぁ、ヌケヌケとそんなセリフを言えるものですね…」
彼女はドフラミンゴに対していつもとは全く異なる口調で話した。その姿は俺の知るものではなく、恐らく今の彼女こそが…オラクルの王女の姿なのだろう。
「フッフッフッ…
残念なのは確かだ…
俺は何度も忠告した筈だぞ？
俺たちにつけと…
オラクルは俺の言うことを聞いておけば、滅ぶことも無かったろうにな」
ドフラミンゴがオラクルを滅ぼしたということか？だが、そんな情報は聞いたことがなかった。オラクルほどの国が滅べば、世間は大騒ぎになるはずだ。揉み消されたということか。
造形屋はドフラミンゴの言葉を聞いて、顔を上げた。
「…オラクルは人も獣も…互いに手を取り、学び、切磋琢磨し、高め合う国だ。人を傷つけるだけのアナタのやり方には賛同できない。だから、お断りさせて戴きました。国が滅んだとしても、私はその決断が間違っていたとは思わない！」
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作者名：あんころ | 作成日時：2021年6月20日 18時
