拾いませんか。 [ar×in]

27話 ページ27

「お待たせしましたー！」



声は元気だが、顔は営業スマイルだと分かる女性店員が、
お盆に丼ぶりを乗せて持ってきた。

「とてもお熱いのでお気をつけ下さい！」
そう言って机に置き、俺をちらっと見て、少し嫌な顔をしてから、
そそくさと次のテーブルへと早歩きで行ってしまった。


(その時は、なんで俺に嫌な顔をしたのか分からなかったが、
その後、ぼーっとして、無意識のうちに店員さんを観察してしまっていた事に気付いた。
変な人だと思われたのか…)


そんな事を考えながら、一人後悔していると、


「…うわぁ…！」

目の前を見ると、朝見たTVに映っていたうどんと、
キラキラした目でうどんを見つめている伊野ちゃんが。


本当に、こういうのしばらく食べてなかったんだろうな…
トーストですらもあんなに美味しそうに食べてたし…


「ねぇねぇ大ちゃん！
早く食べようよ！！」

その姿は、まるで子供のようだ。

「うん、そうだね。笑


ではっ！」

朝ごはんの時、一回やっただけだけど、
なんかこれが馴染んで、自然に口から出てきた。

「手と手を合わせて！」

うどんでテンションが上がっている伊野ちゃんが乗ってきてくれた。

「いただきます！」

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