その瞳は【ニューダンガンロンパV3】

特別な嘘　/　王馬 ページ38

「王馬くん、大嫌い」


…ああ、なんだ。嘘か。
もう一瞬で察しがつくほど嘘に慣れてしまったようだ。


「他人の嘘は嫌いなんだけど」


「…うん。嘘だよ」


悪戯っ子のように無邪気な笑顔に何故か既視感を覚えた。思い出してはいけない物かのように、脳内で明滅が繰り返されている。

今日はエイプリルフール。
皆が平然と嘘を吐く日。嫌いだ。
何が本当で何が嘘なのか分からないのが醍醐味だとしても、他人の薄っぺらい嘘でオレの嘘まで薄れてしまうからだ。


「Aちゃんがオレのこと嫌いになるわけ無いよね？」


「そうだね」


若干噛み合わない会話でも意味はちゃんと通じるらしい。

でもさっきからAちゃんはオレと目を合わせてくれない。
怒っているのか、何の感情から来ているものなのかは分からなかった。
言及しても恐らく答えてはくれない。

ただ、オレはそれも愛しく感じた。
何処まで依存しているのか分からない程に愛しているのだろう。


「王馬くん。」


何？


「今日はエイプリルフールだよ。」


やっと目を合わせてくれた彼女の瞳孔はゆらゆらと揺らめいて、まるで何かに怯えているかのようだった。


「…知ってる、よ…」

　



(分かってる)


(本当は嫌いなんでしょ？)


　




＿＿＿
エイプリルフールに遅れたとか言わないで下さい！
本当の嫌いは無関心だからセーフだよ王馬

ちなみにこれは前回と似ているパターン
嘘+嘘=本当
みたいな

噂に乗せて　/　星→←狭間で　/　百田

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