前原「手を離したのは俺だ」

光の手15 ページ17

前原side



遠くで俺を呼ぶ母さんの声が聞こえた
俺は窓から身を乗り出す



前原「また来るからな」



『ありがと。気をつけてね』



Aの窓から俺の窓へと移った
気づかれないようカーテンで隠す



ドアが開き母さんが入ってきた



母「ちょっと話してもいい？」



前原「何だよ。改まって」



母「やっぱり呪われた子とこれ以上
関わってほしくないの」



母さんなりに考えた答えだと思う
俺は怒りを静め母さんと話す



前原「理由は？」



母「陽斗が大事な息子だからよ。
不幸になってほしくないの」



前原「母さん。それでも俺は
Aを守りたい。隣で守り続けたい」



母「……わかったわ。
危ない事はしないって約束してね？」



前原「約束する」



母さんに少し笑顔が戻った
夜にAを呼んで来てと頼まれた



母「Aちゃんに謝りたいわ。
今夜はちゃんとした御飯を食べさせないと」



Aに今すぐ伝えたい
俺は家を飛び出しAの部屋に行く



ドアを勢いよく開けた



前原「A……」



Aは鋏で自分の腕を切っていた
後ずさりをしている



『来ないで』



前原「何してるんだよ。痛いだろ？」



床にも服にも血が着いていた
Aは切るのをやめない



『私は迷惑の塊だったんだよ。
もう生きる自信が無い』



Aの目から涙が流れていた
気づけば俺の体は勝手に動いていて



無意識に唇を重ねていた

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