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鬼が生まれた日 ページ10

銀時side

「…とき、ぎん……き、ぎんとき…」

「起きろ!銀!!」

銀「んぐぁっ!?」

気持ちのいい夢から強制的に目を覚まさせる結構な衝撃が頭を襲う。
慌てて前を見やると、数分前まで乳臭いガキだった女が急成長を遂げ、可愛い顔を可愛くねー顔にして仁王立ちしていた。

「見張り中に居眠りたぁふてー野郎だね。銀。」

銀「仲間の頭に容赦なく殺人チョップ食らわせるのもどうかと思うがな。A。」

無骨な鎧に身を包み、髪を横に一つにまとめて背中に剣を携えた少女。
俺らの妹分である桜守Aは、フンっと鼻を鳴らした。
松陽があのクソ編み笠野郎どもに連れ去られてから、もうどのくらいの時が経ったかわからない。俺たちは相も変わらず天人どもを相手取り、師匠を取り戻すため戦っていた。

本当は、Aは置いてくるつもりだった。実力は戦力として申し分なかったが、Aは女だ。それはどう繕ったところで戦では弱点になってしまうだろう。何より、松陽はおろか、自分たちすら生き残れるかわからない戦場にAを連れてはいけないと思った。

だが、あいつは。

「嫌だね。俺も行く。」

桂「何度も言っているだろう、A。頼む、聞き分けてくれ。俺達はお前まで失いたくないのだ」

高「お前を、死なせるわけにはいかねぇんだよ。」

「……俺の実力では、戦を生き残るには足りないとでも?それとも、女だからだとか下らねぇこと気にしてるんじゃねぇだろうな?」

銀「…A」

「………そう。なら」

ザクッ!

三人「「「!?」」」

Aは、自分の長い髪を、ためらいなく短刀で切り落とし、あろうことかそれをそのまま自分の顔に突き立てようとしたのだ。

高「ッ、てめぇ何してやがるッ!!」

「離しやがれッ!!こうすりゃ文句はねぇだろう!!」

高「何を言ってんだ!とにかくおちつ」

「俺が!!!女じゃ無くなればお前らは文句ねぇだろって言ってんだ!!」

銀「!…A、お前」

「俺はどうあがいたって女だ、それが弱点になる事位わかってらぁ!!だったら、俺は女である事ぐらい捨ててやる、それで松陽を助けにいけんなら、んなもんどうだっていい!!」


「俺は女である前に、桜守Aだッ!!吉田松陽の弟子だッ!!あいつが守ってくれた俺を捨ててでも、俺は俺の侍を貫く!!」

目にいっぱいの涙を溜めながら叫んだアイツに、もう俺らが引き留められるはずもなく。
アイツは今も変わらず俺らの横にいる。

屍の上に立つ紅→←人は見た目によらない 2



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るー(プロフ) - まろ 様 ありがとうございます!! (2018年10月9日 21時) (レス) id: f73768fb7d (このIDを非表示/違反報告)
まろ(プロフ) - 凄く面白いですね! (2018年10月8日 13時) (レス) id: 00309ab547 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:るー | 作成日時:2018年9月16日 19時

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