思い出は修正されがち ページ1
桜の下には、死体が埋まっているのです。
桜は人を、食って咲く。
怪しく儚く美しく。
ほぅらご覧。あの花弁、紅く色づく花々を。
嗚呼まるで、その生き血を―――
「熱心ですね、銀時?」
「うおわぁぁああ!!?」
――――時は遡り、攘夷戦争よりも数年前のこと。
白に近い、透けるような銀髪を携えた少年、坂田銀時は読書中に後ろから気配を消してにゅっと現れた師、吉田松陽の声に思わず雄たけびを上げた。
「う、うぅう後ろから気配消してくんじゃねぇよ!!!別にビビったわけじゃねぇけど驚いただろうが!!別にビビってねぇけど!!!」
「すいませんねぇ、呼んでも反応がなかったものですから。」
相も変わらずにこにこと悪びれもしない師に、銀時は納得がいかないといわんばかりにため息をついた。
が、すぐに鼻をひくつかせ、いつもの松陽の香りに混じる、わずかな甘い匂いに気づく。
「松陽?」と首をかしげる銀時に松陽は苦笑を返し、「本当に目ざといですね、銀時は」と言って、後ろ手に持っていた桜餅の包みを差し出した。
銀「さくらもち!」
松「帰ってくるときによった甘味処で買ったんですよ。銀時、小太郎と晋助を呼んできてください。一緒にお花見しに行きましょう。」
銀「ん!」
甘味につられたのか、口には出さないが友と師と花見ができるのがうれしいのか――おそらく両者であろうが、銀時は元気よく飛び出し、二分と経たぬうちに二人を連れてきた。
小太郎の頬には墨が、晋助にいたっては道着のままであったので松陽は声をたてて笑った。
銀「う、わああああ…!!」
銀時、小太郎、晋助の悪ガキ三人を引き連れ、やってきたのは満開の桜が咲き誇る小高い丘。
人里からは少し離れたところにあるためか、静かだ。
桂「なんと見事な…」
高「あぁ、ほんとだな」
銀「松陽!!早く桜餅食おうぜ!!」
桂「…あいつほど見事に花より団子の似合う奴もいないな」
高「…あぁ、全くだ」
銀「お前ら!早くしねぇとなくな、る、ぞ…?」
三人「「「?」」」
不自然に足と声を止めた銀時に、三人は足早に近づいた。
松「銀時?どうかしましたか?」
松「!!……おや…これは」
―――桜の下には、死体が埋まっているのです―――
一番の大樹であろう桜の木。その根元には。
桂「これはっ…」
高「……!」
銀「………死体…?」
1人の少女が、固く目を閉じ、座っていた。
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るー(プロフ) - まろ 様 ありがとうございます!! (2018年10月9日 21時) (レス) id: f73768fb7d (このIDを非表示/違反報告)
まろ(プロフ) - 凄く面白いですね! (2018年10月8日 13時) (レス) id: 00309ab547 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るー | 作成日時:2018年9月16日 19時