【ホラー】大切な石【脱出】 (ページ13)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:833 hit

2 ページ13

石、大切な

確かに私は小学生の頃

夏休みにここへ遊びに来た

あの頃はまだお父さんも生きていた

私が小3の頃だったか

暑いはずの夏、なのにあの中庭は

心地よい風が吹いていて

真ん中に大きな木が一本あった

確かあの木は先祖代々大事にされ続けられた

ご神木…あ、そうか今はもう

お婆さんも叔父さんもいなければ

お母さんもいないんだ…

ああ、私はいままで支えてもらいながら

ずっと生きていた、苛められていても

慰めてくれていたはずなのに

無視して家を抜け出した

今となっては木を見守る人がいない

今この家の血を持っているのは私だけ…

【そう、貴方だけ】

もし、あの鎧と女の子を成仏させる事が

できるのなら…中庭の地図と韓国語のヒント

中庭に行かなければ

そう思って立ち上がると

私も今いる客室の中を探してみる

まずは近くの四段のタンスから

一番下、二番目、三番目、四番目

「また紙切れだ…」

紙切れにはいくつか山水庭の写真が

四枚張られていた

山水庭という事は分かったものの

張られた写真の種類が分からないのだ

とりあえず写真は後回しにして

また何となく紙を裏返しにしてみれば

フランス語で何か書かれていた

ケントを呼んでフランス語が書かれている

紙切れを手渡す

「ケントなら読めるよね？」

「うー…いろいろありすぎて
　頭の整理が…ううぅ…」

うーうー、唸っているとライさんが

ケントの肩を叩いた

「んもぉ…何やってるのよ
　貸しなさい、私が読んであげるわ！」

ライさんは自信あり気に紙を受け取った

「えーっと、次に会う波模様はどれ？
　石の大きさ、波、下、庭、穴
　または北、東、南、西
　はあ？どいうことだよッ」

ん！？Σ(´ﾟдﾟ｀)

「ｺﾞﾎﾝｯ、忘れて頂戴？」

守りたくないこの笑顔とはこの事っすか

「あ、はい」とケントが苦笑いして返事をして

私も「はい、忘れます」と言った

「うーん、どうしよっかな？」

「え？」「嘘だろ…」

ゾワリと背筋が凍った

あの子だ、私の真後ろにいるんだ

私が振り向こうとした時

ツンっとちょっとした違和感を感じた

針の先を触った時にチクリとした感覚

刃物、きっとあのナイフを突き立てられているんだ

「フフッどうする？振り向いたら刺すよ？」

耳鳴りがなる、でもピーとかキィーンとかじゃなかった

バイブ音みたいな音でブー、ブー、ブーという耳鳴り

「待って、ケントとライさんも…
　後ろ向かないでください…」