【ホラー】大切な石【脱出】 (ページ14)

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見えないんだ

ライさんを見てもケントを見ても

背後には女の子の姿が見えないんだ

でも振り向かせちゃ、いけない気がする

もう、訳が分からなくなってきた

汗が頬をつたっていく

恐怖が怒りに変わっていく感覚

こんなことに巻き込まれるのは私だけでいい

一歩…下がってみる

が

別に痛いわけじゃない

もう一歩下がってみる

それでも痛みはなかった

これは単に後ろを向かなければいい

そいうことなのか

ならばこうするしかない

覚悟を決めて後ろに下がっていくと

ただ壁に背をぶつける事が出来た

ここからは手探りでドアノブを探す

…………

「あった…」

「あ～あ…残念でもせいかーい
　この二人も解放してあげる」

「はあ…ホントッ！何なのよアレは！！」

「…」

ケントにぼーっとしていることに

ライさんが気づいたが

ケントはなんでもないと言う

ケントの様子が可笑しい

そう思った時に移動しながら

後ろからケントに肩を叩かれて

「休憩しないか」と言い出した

「それなら、ベランダに行こう
　古い家だから、埃臭いし…外の空気吸わなきゃね」

・

・

・

なぜだろうか、今のケントは

まるで、『生きていない』ように

そう、見えてしまったんだ