【ホラー】大切な石【脱出】 (ページ16)

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逃げ遅れたライさんが

つぶされた…

ライさんの姿は見えないが

血が飛び散ったようで

私達の顔や服にまでついたわけではないが

床と落ちてきた岩にそれらしき跡が残った

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

あとは私とケントだけ

「…あ、時間がないや
　もういいや、後は私自らやる」

ベランダから離れてリビングに戻ると

後ろからあの子だろう声が聞こえた

ベランダからリビングへ移動して正解だった

また訳の分からない者に襲われるかもしれない

そう思ったが…

写真って本当にいい残り物なんだね

「…貴方、元は人形でしょ
　私の母が小さい頃フランスで」

「なんでそんな事、聞くの？」

「昔聞いたことがあった
　この館に初めて来た時」

自分の口から出てきた言葉は

私の頭の中にないはずなのに

そう、思ったから、確認しないと

いけない気がする

ここリビングにある写真

白黒で分からなかったけれど

お婆ちゃんとお爺ちゃん

一人娘だった私の母親の子供の頃の写真

真ん中の大きな椅子に座っている子供は

今私達の後ろにいる、この子そのもの

・

・

・

・

・

…………確か

確か名前は……

「やめて、思い出さないで」

必死で頭の中から記憶を探すし出す

「止めて、やめて」

それをやめてという

「リエ」

「……ぁ…」

「貴方が本当のリエなんだね…」