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「こいよ、」
胡座をかく彼は、自分の太腿をポンポンと叩いた
ほらね、直ぐに小さい子を扱う様にする
私、もう22歳なんだけど。
その言葉を抑え、"態度"で表してやろう____
そう決めて十四郎さんの上に横を向いて座った
「っは、おっも」
「え?うざい」
そう言って斜め上の彼の顔を見上げると
当たり前だけど、十四郎さんに見下ろされていた
___あれ、思ったより近い...?
少し恥ずかしくなって視線を外した
「お前が、俺の...か」
「俺の、何?」
「いっ...言うわけねェだろバーカ」
顔を赤くしてそっぽを向いた十四郎さん
全然、隠し切れてませんよ
嗚呼___この人が、私の"彼氏"なんだね
きっと彼はこう言いたかったんじゃないかな
なんて、少し自惚れてみる
彼の胸に頬をつけ、体を預けると、優しく包んでくれた
暖かくて、頼もしい。
「...静かにしてたら可愛いんだけどな」
「なら静かにしておきます」
「ほら直ぐそういう事言いやがって、」
ぐっ、と頬を持たれ顔を動かされる
十四郎さんの方を向かされ、ばっちり目が合った
思ってたよりまつ毛が長いんだな、とか
煙草吸ってるのに肌が綺麗だな、とか
近くにいればいるほど、色々な事が思い浮かんでくる
「そんなに俺の顔見て、何か面白ェか?」
「...見惚れてた、?」
「っ!...ばか、」
また馬鹿って言われたけど
彼はそんな事考える暇なんて与えてくれなかった
視界に入るのは閉じられた目と長いまつ毛
少し赤くなった白い肌
そして唇に柔らかい感触
息をしたい
彼の名前を呼びたい
そう思って口を開くと、生暖かいものが入ってきた
初めての感覚に頭がボーっとして、クラクラしそうになる
____映画でよく見るアレだ、
今の私は頭の中でそう解釈するのに精一杯だった
「っ、A」
唇が離れたと思ったら、強く抱きしめられる
私も彼の肩に腕を回す
.
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作者名:なんぱん | 作成日時:2020年5月19日 23時