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その後、3つの首を屯所まで持ち帰り
怪我人の手当てが始まった
1番の重傷者はお兄ちゃんだ
大量出血で意識を失っている
一方私は___
刀で体を支えなくても歩けるまで回復していた
不気味すぎるほど早い体の修復力に寒気がする
隊士達を寝かせ、お兄ちゃんの横に座る
朝まで私は彼の部屋で過ごす事にした
____命を犠牲にしても私を護ろうとしてくれた
私を逃がそうとしてくれた
いつもはあんなゴリラなのに、ちゃんと人間やってた
「ごめんね、」
意識のない彼に届く筈はない
目を覚ましたら、もう一度ちゃんと言おう
"お前に殺されるなら本望だ"
あの夜兎が最後に言った言葉
最後に流した涙
その2つの意味は分からない
.
.
いつの間にか眠ってしまっていた体を起こす
お兄ちゃんを見ると、ちゃんと息をしている彼と
それを見守る十四郎さんがいた
「あと1時間ぐらいしたら日が昇る。それまで休め」
そう言った彼の顔は疲れ切っていた
「寝てないんでしょう?あなたが寝て」
十四郎さんは何も言わず、お兄ちゃんを見つめる
「私が車から出たからあんな事に」
___正直、私は足手まといだった
もしあのまま車にいたら
夜兎と衝突することなんてなかったのに
「違う、お前の所為じゃない。
俺がお前を1人にしたから___俺の所為だ」
悔しそうに下を向く
____違う、あなたのせいじゃない
そう言っても同じ会話の繰り返しになる
私は彼の隣に行き、そっと抱き締めた
「もう誰も...失いたくねェ」
そう言うと私の腰に手を回し、強く抱き締め返してくれた
煙草の匂いと彼の香り
私が安心させたいのに、私の方が安心する
「お前は俺の前からいなくならないでくれよ、」
私の肩に頭を乗せ、力のない声で言う彼
見えないと分かっていても、首を縦に振る私
「お前を絶対護りたい
それ位、俺はお前に惚れてるみてェだ」
____なによ、それ。
私だって、同じ想いなのよ
「私があなたを護るから」
もう彼に負担はかけない。絶対に
護られてばかりじゃいけない。
「(もっと強くなりてェ)」
「(もっと強くならなきゃ)」
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作者名:なんぱん | 作成日時:2020年5月19日 23時