705〜倫也side〜 ページ45
向かい合わせで食べる朝食は久しぶりで静かな食事が始まれば
「昨日、ごめん…」
「んーん。」
タクシーから運ばせたことなのか、夜中のやりとりのことなのかわからないけど、どっちでもいい
「倫也さん、今日は……？」
「オフだよ。」
「…………そう…」
二人一緒の休みなんてほとんどないのに
こんな時ばっかりタイミングってやつは残酷だ
「いま何話書いてるの」
「8話かな」
「じゃあ、それ入れてあと4つ？」
「うん」
終わりが見えてくれば、この生活だってなんとか耐えられる。
そう、あとちょっと。
あと少しだけ待てば。
朝食を食べ終われば、自然に彼女が皿を洗って
俺はソファーでコーヒーを傾ける
空になったマグカップをシンクに持っていけば
その後ろ姿を抱きしめたい衝動にかられる
トン、と横から無言でマグカップを置けば
すぐに泡で包まれて綺麗に流されていく
そのままソファに戻れば、彼女がたてる水音さえも
愛しくて、テレビを見るフリをして耳を傾ける
きゅ、と水道の止まる音がして
ソファの後ろに足音が止まった
「……………じゃあ、行くね」
またぎゅっと胸が鳴る
「うん。」
玄関に向かう彼女をゆっくり追えば
靴を履き終わって振り向いた
「ありがとう、」
「……………A、」
名前を呼べば切なくて
「あのさ、なんかあったら………言って。」
「……………」
「須藤くんの、次でもいいから。もし困ったことあったら」
自分で言ってて首を締めているのがわかる
「………うん…ありがとう…」
これ以上、交わす言葉はない。
「………いってらっしゃい」
伸ばした手は抱きしめても頬に触れてもダメそうで
頭を撫でた
「……………っ、、いって、きます……」
苦しそうに微笑んだ彼女は
すぐに背中をむけて出て行った
ガチャン。と閉まった鉄の扉と、
コツコツと遠ざかっていく足音と、
柔らかい髪の毛の感触が残る右手を見ても、
どうすることもできなくて、
壁にもたれて座り込めば
誰もいないリビングを廊下越しに見た
静かな静かな部屋は、どれだけ経っても全然慣れない
今まで嬉しかった休みの日は
今では一番辛い日になっていた。
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南季(プロフ) - おこげさん» おこげさんお久しぶりです！またコメントありがとうございます♪ 書いてる私が一番変態なので変態センスは結構あるのかもしれません笑 寂しい日々のお話、もうしばらくお付き合い下さい〜！ (2020年11月1日 17時) (
レス) id: 2f4c017e2e (このIDを非表示/違反報告)
おこげ(プロフ) - お久しぶりです。毎日見てました！ここ最近はこんな感じでお話の寂しさはありますが、相変わらずセンスの良さが読んでて伝わってきます。変態って言わせるための流れ、思いつきがすごい…明日も楽しみにしています！ (2020年11月1日 2時) (レス) id: e1a6356b83 (このIDを非表示/違反報告)
南季(プロフ) - るーーさん» 当たらないと言われるとニヤニヤしちゃいますね笑 そして初回の方も読み直してくれてるんですね！おかわり嬉しい〜！！ 今後どんな展開になっても温かい目で見守って下されば幸いです…笑 (2020年11月1日 1時) (レス) id: 1be35b4939 (このIDを非表示/違反報告)
南季(プロフ) - ゆずはさん» 今回は倫也さんをひたすら追い詰めていくシリーズになってますからね笑 二人はこの先どうなるんでしょう…笑 シリアス楽しんでくれて嬉しいですっ！！笑 (2020年11月1日 0時) (レス) id: 1be35b4939 (このIDを非表示/違反報告)
南季(プロフ) - はるさん» はるさんまたコメントありがとうございます♪ 最近切ないばっかりなのでちょっと遊んでみました笑 (2020年11月1日 0時) (レス) id: 1be35b4939 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：南季
| 作成日時：2020年10月12日 20時
