マチノソラ9

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帰れば、珍しくリビングで台本も広げずにテレビを見ていた


「ただいま」


「おかえり〜」


ソファから首をだらーんと向けた顔は……酔ってる？


「飲んでるの？」

「ん〜明日オフだから久々に。」

「珍しー」

「Aはあんま酔ってない？」

「ほろ酔いかなぁ」

「一緒に飲み直す？Aも明日休みでしょ？」

「……………うん、そうしよっかな。」









先にシャワーを浴びて隣に座れば、いい感じに冷えた杏露酒のグラスを渡された


「かんぱい。」

「かんぱい。」


ふふふ、とお酒が入っていつもよりふわふわしてる
倫也さんが嬉しそう


「ん？俺の顔なんかついてる？」


「いや、別に………」


「なによ。言ってごらん？」


身体をこちらにむけてソファの背もたれに肘を乗せて頭を預ける姿は、首を傾げたようでセクシーで可愛い


「……………倫也さん、さ、」


「うん」


「撮影現場、楽しい……………？」


「ん？うん。なんで？」


カラン、と口をつけた倫也さんのグラスの氷が鳴る


「…多波さんと気まずくなったり、してないの…？」


こんなストレートに聞いていいのかわからないけど、他にやり方がわからない


「あぁー………普通だよ？」


「最近も？」


「ん？」


「……………こないだ、会って。」


「え？いつ？」


「キスシーンした日」


「……なんか話したの？」


「そんな、大した話はしてないけど、倫也さん大丈夫だったかなって……………、、」


「……………」


「倫也さん……………？」


グラスを持ったまま一点を見つめて考えこむような
顔に、不安になる

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