マチノソラ9

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「……………見えて、なかった。」


「また何かやらかしたんすか？」


「………倫也さんと別れる騒動あった時に、写真送られてきたって言ってたじゃん？」


「うん」


コトリ、と新しい缶ビールが置かれて、無言で受け取ってプシュと開けた


「それ倫也さんとドラマで共演してる子から送られてきたんだけど、そのこと倫也さんも知ってて………、考えてみれば、倫也さん、毎日その子と会ってるんだよね…、、」


「……………なるほど…」


「私、自分のことしか考えてなかったけど、そういうことされた人間と毎日会うって」


「俺だったらキツイっすね。」


「……………よね……、、」


倫也さんはどういう心境で多波さんと毎日仕事してたんだろう

テレビの前で不仲を見せられない芸能界で、どれだけストレスがあったのだろう
いつも変わらない彼の笑顔に、安心して甘えていたことに気づく



「まぁ倫也さんはちゃんと自分で消化できる人だと思いますけど」


「…私支えられてばっかで、倫也さんのこと全然支えられてない気がする」


「そんなことはないと思いますよ。」


「……だって、何もしてない」


「あははは、そういうのはまだ見えてないんすね」


「え？」


「そのまんまでいいと思いますよ。」


「……、、こないだ、ね、またその子に会ったの。
………私、なんか、色々言っちゃって。」


「……………なんて？」


「……………かわいいですよね、とか」


「ん？」


「演技も上手いし、努力してるのすごいですとか、
うん、やっぱ女優さんってすごいと思うんだよね」


「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ！！！」


「あ、須藤の爆笑久しぶり。え？なに？」


「っ普通褒めます！？そんなことされた女」


「だって、まぁ色々あったけど、すごいもんはすごいじゃん。その子だって多分倫也さんが好きだからそういうことしちゃったんだろうし…」


「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜Aさんだなぁ」


「進めていい？んでね？私は女優にはなれないけど、彼の隣を胸張って歩けるように全力で、本気でやってますって言ったんだけど、あの後倫也さん、何か、大丈夫だったかなって今更……」


「ふふふふふ、そっか」


「…何か、されたりしてないかな……」


「あーやっぱ好きだなぁ。」


「ん？」


「いや？本人に聞いてみれば？」


「………これ聞いてもいいやつですか？」


「わかんねぇけど、ふふふふふ」

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