マチノソラ9

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会社帰りに通う教室にも顔見知りが増えてきて、同じ目標に向かう人達と話すのはすごく楽しいし刺激をもらえる


教室は自分で探して決めた

まだまだ基礎の基礎だけど、確実に歩む道が嬉しくてこれがちゃんと仕事になったらいいなと思った


帰り道は幸せの道。
いろんなものに想いを馳せながら歩く。


「ふふふ……」



あんな倫也さん初めて見た。

この間の情事を思い出せば口元が緩む

噛みつくような痛いほどのキスに、欲望のままに動く二つの手、うねりながら押しつけられる身体に、いつもはセーブしながら抱かれていたことがわかった


あそこまで余裕なく抱かれたのは初めてで、でもそれが嬉しくて、ぐちゃぐちゃにかき乱された髪の毛も、身体中のキスマークも、笑ってない顔も愛しかった


終わった後に、心配そうに
ごめん、大丈夫だった…？と優しい顔に戻って聞いた倫也さんに笑えば、何で笑ってんの？と不思議そうな顔がまた可愛かった。


また一つ近くなったはずの二人の距離は確実で、前よりもまたちょっと甘えん坊になった年上の男が待つ家に早く帰りたくなった




「ただいまー」


「おかえり」


ひょこっとエプロン姿の倫也さんが顔を出す


「良い匂い！」

「すぐ食べる？」

「うん！」




「「いただきます」」

「先食べてていいんだよ？」

「そんなお腹すいてなかったし」

「ふふ。あ、美味しいこれ！」

「んふふ、…最近水曜日だけこの時間？」

「あぁうん、しばらくはそうかな」

「なんかあんの？」

「習い事？」

「え？なにやってんの？」

「ひみつー」

「…料理教室？」

「ぶー」

「楽器」

「ぶー」

「ヨガ？」

「ぶー」

「じゃーお見合いパーティー。」

「………」

「は？」

「………」

「え、ちょっと…」

「あははははは！」


本気でちょっと焦っている顔が可愛くてお腹を抱えて笑う


「その笑いはなに？本当に？」

「あはははは、なわけないでしょ！」

「……なんだ…、」

「かわいいなぁ何でそこでお見合いパーティーがでてくるの？」

「こないだドラマでそーゆーシーンあって」

「へぇそうなんだ」

「で、結局何なの？」

「もうちょっとしたら教えるね。形になったら。」

「…危ないことじゃないよね…？」

「大丈夫大丈夫、安心して」

「Aの大丈夫は大丈夫じゃないからなぁ」

「今回は本当に。変なことじゃないから。むしろ近くなること？」

「近くなる？なに近いって。」

「ね？あははは」

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