マチノソラ

48 ページ48

「お風呂沸きました、タオルこれ使ってください」


「ん、ありがと。」


「着替えとかは………」


「仕事用の替えがあるから大丈夫」


「あ、そうなんですね………」



脱衣所の扉が閉まる音が聞こえてドキリとした胸におかまいなしに、風呂場からはシャワーの流れる水音が響き、急に現実味を帯びてくる。



ドキドキと鳴りだした心臓とカチコチと知らん顔でいつもと同じリズムを刻む時計に、ウロウロと寝室とリビングを行ったり来たり。

シーツは一応洗ってあるし、枕カバーも、、いや、ソファで寝るのかな？……………ってそれはないよねいい大人が………無駄毛処理丁寧にしなくちゃ、え、下着何つけよう、今着てるのは脱ぐし

……………いや、そうだよね、そうなるよね？
え？ちょっと待って心の準備が…………



「……………なにしてんの？」


バスタオルを肩にかけてリビングに入ってきた倫也さんは、白いTシャツにハーフパンツ、半乾きの濡れた前髪が幼さを思わせるのに、色っぽくてクラクラした


「あっ、いやリモコンどこかなぁって！」


「……………ソファの上にあるよ？」


「あ、本当だぁ！気づかなかった！」


ウロウロと不審な動きをする私に首を傾げて、コップに水を入れて喉を鳴らした。


「じゃあ私入ってきますね」


脱衣所の扉を閉めればうるさい心臓をぎゅっと握った






.





……………のぼせる………。



色々考えすぎてしまって、すぐに出ようと思ったのに長湯してしまった。

とりあえず、出よう。

ザバァッと湯船を立って、泡が付いていた洗い場の曇った鏡を手で拭いた



「……………え。」

49→←47

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す