マチノソラ3

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恥ずかしいのと辛いのとでチラチラと時計を確認するも時間は経たない。


「……………どっか端よせる？」

「……っ、よせない！……………何か話して」

「ペットボトルとバスタオルあるよ？」

「何の話をしてるんですか」

「非常事態の話？」

「やめて…………」

「混んでないといいけど……限界だったら言ってね」

「言ったらどうするの…………？」

「………どっちがいい？ペットボトルとバスタオル」

「死んでも言わない。」









それから針がやっと半分進んだ頃には、さっきの冗談が冗談じゃなくなりそうだった。


「なんか音楽変える？」

「……………っ、、」

「あそこのパーキングなんか有名な食べ物あったよね〜なんだっけな〜」

「…………………………っっ、、、」

脚をギュッと閉じて下を向く私に、倫也さんは前を向いたまま頭をかいた



「………っ！？」


ガクンとスピードが上がって片手で握ったハンドルが揺れる。
メーターは見えないけど、多分かなりの制限速度オーバー


「っ、倫也さん………、スピード…………っ」


「うん。」


無表情のままスピードを落とさず最高速度で景色がすぎる







無言の10分の時間が1時間にも感じて

もう、本当に……………


「A、あと5分。」


「〜〜〜〜〜〜っっ、」


返事も頷くことも出来なくて、感覚の無くなってきた身体は、もう一生辿り着けないような気がしていた









「着いたよ。歩ける？」

顔を上げれば車のすぐ横に建物があって、ものも言わずに駆け込んだ。









車に戻ると、外に出てタバコをふかしていた倫也さんがゆっくりと見た


「…………間に合った？」


「……………おかげさまで………」


「よかった。何か買う？」


「………大丈夫です」


再び走り出すと、さっき見た時は地獄のようだった変わらない景色がちゃんと綺麗に流れ出した。


「ふふふ」

「なに？」

「やっぱ子供みたいだなぁと思って」

「こんなこと普段は無い！」

「あははは、我慢してる顔も可愛かったよ」

「…………倫也さんってたまに変態だよね」

「間に合わないところも見てみたかったなぁ」

「間違った。変態じゃなくて、ど変態」

「あはははははは」

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