悪女には表と裏があるらしい。 ＜番外編＞

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大吾「…じゃあ、後は頼むで？」


ラウール「まかせといて！！」


西畑くんたちが学校を去った後、僕は夜な夜な学校に忍び込んで掲示板に新聞を貼った。


もしそれで気づかなければ、他の手を取るつもり。


だけど、その心配はいならなかった。


瞬く間に噂は広まり、愛奈の周りには誰も居なくなった。


僕の任務は達成できた。


その瞬間から僕は、Aに会いたくて仕方がなかった。







時がたち、５年後。


Aから連絡が来た。


「久し振りに、皆で集まろう」


僕はにんまり微笑むと、急いで返事を返した。


学校へ行けば、皆大人びているように見えた。


そして、相変わらず僕を子ども扱いしてくる。


まあ、しょうがないか。


皆の中では、「純粋無垢なラウール」っていう設定だもんね。


仕方ない。


皆がそれぞれ和解し、僕たちは、友達として仲良くなることになった。


やっと他人のフリやめれるなぁ…


少しの解放感から、僕は西畑くんたちのことを口走った。


…まあでももちろん。


わざとだよ？


誰かが僕の失言に気付き、犯人を分かってくれるかなって。


ちょっとの興味でやってみた。


そしたら、樹くんがはっとしたような顔になって僕を見つめた。


まんまと罠に引っかかった樹くんに向けて、人差し指を唇に置き、「しぃー」と合図を送る。


樹くんは呆れたように笑ってため息をついた。


ようやく気付いたかな？


それとも、新聞の犯人で止まったかな？






だって皆、



まさか最年少の僕ラウールが



純粋無垢な天使くんが



本当は



不順で邪心まみれな悪魔だって



思わないだろうからね。




僕は俯く。


そして、ひたすらに笑いをかみ殺した。


そっと前を向き、前を歩くスノストを見つめる。


嗚呼。


本当にこのお兄ちゃんたちは、


馬鹿だなぁ。


そう思いながら、僕はまたあの純粋無垢な笑顔で皆の輪の中に入っていった。



悪魔の仮面は、そう簡単に剥がれやしない。


悪魔はずっと見ている。


いつ天使を堕とそうか。


いつ民を騙そうか。


悪魔はずっと。


彼らを見ている。



何も変わらぬ日常に、その闇に、ひっそり身を潜めて。

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