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「Aだけに話すけど…実は結婚したんだよ」
「加藤さん鋭いね」
ほんわかした雰囲気に包まれているけれど心はそんな雰囲気じゃない。笑いたくても笑えない。
「秘密な?Aだけ特別」
こんなところで“特別”を使わないで。もっと違うところで意識してよ。
そんなこと言えるはずもなく。
「はい!おめでとうございます!!わたる先生幸せにするんですよ」
「もちろん」
「わたる先生?放課後話しませんか?馴れ初めとか聞きたい」
「いいよ」
予鈴が鳴りこの場は一応お開きとなった。
急いで教室に帰る。次の教科は苦手な古文だっけ。
放課後なんで呼び出したのだろう。
私、まだ希望が欲しかったのかもしれない。
私、先生に告白しようとしているんだ。
「わ、たる…先生ぃ…」
私より特別扱いしている人はあの人なのか。
もう、全部全部壊しちゃえば。
「楽、かな?」
****
「Aー」
聞き慣れた声が響く。
「先生遅いですよ」
「ちょっと話しててさ」
先生は勘付いているのだろうか?
でもいいか。
「先生…私ずっとわたる先生のこと好きです。恋愛の意味で」
突然口走ってしまった本音。もうちょっと後から言うつもりだったのに。
「A、それは恋じゃない」
やけに優しい声でわたる先生が言った。
「え…」
「それは尊敬ってゆーの。先生への憧れ。勘違いしちゃってる」
…そうなの?
「そっかぁ…」
「でも言ってくれて嬉しかった」
「…わたる先生行ってください。話はそれだけだったので」
「本当に…」
「大丈夫なので」
わたる先生を押し切って私は一人きりとなった。そして感情のストッパーが遂に壊れてしまって私は涙を零した。
わたる先生の声が好き。
わたる先生の口悪いところが好き。
わたる先生の思わせぶりな行動が好き。
わたる先生の笑顔が大好き。
ほら…こんなにわたる先生の好きなところが出てくる。
私はこの感情が尊敬とか憧れじゃないと思うの。
これは紛れもなく…
「先生、これは恋ですよ…勘違いじゃないですよぉ…」
誰もいない
…叶わない恋でした。
大好きです。わたる先生。
この感情は恋なので忘れません。
「俺も…好きだったよ。ありがとうA」
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あゆ(プロフ) - どのお話も切なくて、思わず1話読み終わる事に泣いてました…w最高でした!ありがとうございます…(´;ω;`) (2019年7月25日 21時) (レス) id: e76134e0bd (このIDを非表示/違反報告)
夏々 - まふくん……悲しすぎる(;_;) (2018年11月22日 23時) (レス) id: ca7b93074f (このIDを非表示/違反報告)
かのこゆり - かのこゆりです!天使病のお話を書かせていただきました。お褒めの言葉、ありがとうございます!緊張していたのもあり、正直あまり自信がなかったのですが、そういっていただけて嬉しいです。読んでくださり、本当にありがとうございました! (2018年11月22日 4時) (レス) id: 459f75f8c6 (このIDを非表示/違反報告)
sera(プロフ) - ぬこさん» 坂田さんの小説の作者、seraです。私の書いたものが良かった、と書いてくださったのでコメント返しさせて頂きます。そう言ってくださりありがとうございます。これからも私含め、他の作者様のこと、応援よろしくお願い致します! (2018年11月21日 21時) (レス) id: 28f01b04a4 (このIDを非表示/違反報告)
ぬこ - 凄く感動しました。特に、坂田さんの入院(?)のやつと、まふまふさんの天使病のやつです。めっちゃ泣きました!これからも頑張ってください! (2018年11月21日 21時) (レス) id: 4fbcbbbe7e (このIDを非表示/違反報告)
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