賭け狂い【賭ケグルイ】

＿ ページ45

｢よっしゃ、ルールは決まった。始めるぞ。｣

｢鈴井ー、ついてきて｣

そうだ、鈴井はディーラーなんだ。

｢うふふ、鈴井さんがディーラーをして下さるなら安心です。頑張りましょうね。｣

｢肩の力抜いてさ、深呼吸して。落ち着いていこう。役割は違うけどいきなり任命された者どうしだ。｣

｢鈴井さん、大丈夫ですよ。私たちは勝ちますから。あれをサインにすれば必ず勝てます。｣

…

｢うへっ、あらかじめサインを決めてたのか。手元だけで並び順まで伝えられるのか‍？｣

…そう、私達にはサインがある。
いや、正確にはある[らしい]。私は、身に覚えがない。いつそんなことを言われた‍？とくにないはず。鈴井も多分わかってはいない。わかっている顔じゃなかった。なら、なんで夢子はあんなこと言ったのか。動揺させるためか‍？でも、そんなんじゃないはず。だって、生志摩妄はそんなんで動揺したりしない。夢子とは違う種類の狂っているやつだから。
なら、私は普通にゲームをしたらいいのか‍？
引き分けに持っていけばいいのか‍？降参して二人でやらせるか‍？

いったいどっちなんだ。

くそ、夢子のやつ。
暗号とか合図とか決めてないのに、なんであんなこといったの。夢子の考えが今はまったくわからない。

｢おいおい、大丈夫か‍？｣

｢…大丈夫に決まってるでしょ。｣

｢Aさん、無理せずに、深呼吸ですよ。深く考えずに肩の力を抜いて。｣

｢………わかった。深呼吸に緊張せず、深く考えず、自分の正しいと思うゲームをする。｣



考えず、その言葉を信じて私はただゲームをする。

バレンタイン記念ストーリー「友情」→←30000hit突破記念番外編「家族」

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