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打ち上げとは言っても元々持ち寄っていたお菓子なんかを教室で食べるだけだ。
 わいわいがやがやと、暗殺という共通目標もあってか通常クラスより仲の良いE組は高い盛り上がりを見せる。

岡野「ねぇ今週の〇〇見た?」
貴方「見た見た!」

 あれこれと話は尽きないし、こういうのはやっぱり楽しいもの。
 うーん、学生って、青春って良い。大人になって大切さが分かってからもう1度繰り返せるなんてありがたいことだ。
 まあ、2度とないから素晴らしいものでもあるのだろうけど、そこはね。

 にしても眠い。
 そもそも今日は“あの夢”を見たから寝不足なのだ。それなのに球技大会までしてもうヘトヘトである。

奥田「眠そうですね。大丈夫ですか?」
貴方「うん。眠い。まあ、夜更かししてたせいだから」
奥田「ちゃんと寝ないとダメですよ」
貴方「うん、ありがと」

 ま、一回見始めると数日見続けちゃうから、無理だろうけど。
 溺れていく、沈んでいく、落ちていく。苦しくて、冷たくて、暗くて、寂しくて、近付いてくる死の気配は鮮明で。
 私のこの脳には、死にかけたどころか一度死んだ記憶すらある。
 より鮮烈に、残酷に、死は刻まれているのだ。

 私自身が重く捉えていないとはいえ、トラウマというものはそう簡単に克服出来るものでもない。
 一生付き合っていくのだろう。

 ただ、あの悲しい感覚を、記憶を、私はどこか愛してもいる。
 だから無くならなくても、治らなくても、別に良い。
 きっとこれは私の一部。
 死は常に私達の近くにいる。親しみ深い、大地のような包容力を持っている。とても、とても、懐かしい感覚がするのだ。

奥田「さ、Aさん?」
貴方「うん?」
奥田「い、いえ。あ、じゅ、ジュース、おかわりしますか?」
貴方「うん? ああ。愛美ちゃん何が良い?」
奥田「え、入れて来ますよ」
貴方「オレンジで良いかな?」
奥田「は、はい」

 いけないいけない。
 死に近寄り過ぎてはいけないよ。
 私はまだ、死んでないんだから。

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作者名:mol/L | 作成日時:2022年8月3日 20時

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