第九章…性別が違う。 ページ10
俺は今昇降機に乗り、探偵社に出社しようとしていた。
昇降機を降り、武装探偵事務所のドアの前に立つ。
ドアには簡素な毛筆で【武装探偵社】と書かれた額が掛かっている。
腕時計を見る。
出社時間である八時までには、まだ四十秒の猶予があった。
少し早く着きすぎて了ったか。
時間厳守が俺の信条である。
四十秒を待つ間、手帳を操って今日の予定を再確認することにした。
既に朝食時に一度、寮を出立する時に一度、信号待ちの時に一度確認しているが、予定確認が過ぎて死んだという話は聞かん。
手帳を読み、既に頭に入っている業務予定を反芻する。
襟を正し、再度腕時計を見る。
……佳し。
「御早う御座いま…」
「…国木田さん助けてください!!」
扉を開けた瞬間、緊迫した表情の敦が飛び出してきた。
「……何だ、朝っぱらから。」
「うぅ……太宰さんが、あれです!」
敦が見た先を見ると、狂った様子の太宰が発狂していた。
………面倒臭そうだな。
此方は昨日のAとの件で、気分が良いというのに。
無視しようとした瞬間、何かが医務室から飛び出して太宰を吹き飛ばした。
………ん?
目の前に居るのは、見知らぬ小僧。
息を切らして、涙目で何かから逃げていたようだ。
それにしてもこの小僧、何処かで見た気が…………。
茶色の癖のある髪。
桃色の男にしては大きめの瞳。
色の白い肌。
でも、骨格はちゃんとした男だ。
服装も、黒色の外套に白色のYシャツ。
脛辺りで折られたズボン。
何処かで見たというより、凄く知っている顔のような。
考えている間に、与謝野医師とナオミが小僧に近づいていく。
「さぁさぁ、逃げるなんてしたら駄目じゃないかァ。」
「そうですわよ。此処は潔く、ですわ。」
『嫌です!絶対嫌です!……く、来るな!』
必死に拒否し、気を失った太宰の後ろに隠れる。
その小僧の手首を、俺は無意識に掴んだ。
「……小僧、もしかしてAか?」
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MARU(プロフ) - 国木田さんと採菊さん推してるんで最高です笑 (2021年5月13日 22時) (レス) id: bd5ad6c911 (このIDを非表示/違反報告)
友梨(めっちゃ国木田押し - 嬉ー (2019年7月6日 23時) (レス) id: 29a746ff3b (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 尚さん» ありがとうございます!!国木田さん格好いいですよね!更新頑張ります。 (2019年4月11日 16時) (レス) id: aecdb871b7 (このIDを非表示/違反報告)
尚(プロフ) - 国木田さん推しにはたまらない!更新頑張ってください!応援してます! (2019年4月11日 16時) (レス) id: ee472e7980 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 分かりました。それについても実は考えていたので、今度の話で取り合い書きますね。 (2019年3月13日 23時) (レス) id: aecdb871b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:如月あや | 作成日時:2019年2月27日 23時