何故か“あの“高杉に世話を焼かれ、惚れられている【銀魂】 (ページ15)

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高杉の思いが13回ページ15

Aを俺の船につれて来たその日の夜中。

見回りをしていた万斉から“Aの部屋からうめき声がする“との連絡が入った。

恐らく過去の夢でも見ているのだろう……

Aの過去は俺よりも凄惨で、目も当てられないような酷いものだ。

俺が割り当てたAの部屋に行くと、ドアを隔てたこちらがわにまで声が聞こえてきた。

「……」

中に入るとAが汗だくになりながら何かぶつぶつ呟いていた。額に皺よってらァ。

耳を澄ませば、仕方なかったんだ、ごめんなさい、どうして私が、もう嫌だ、死.にたい等の寝言を言っている。

「おい、A。AA！っ……A！！！」

大きな声で名前を呼んでやると、Aはヒュッと喉から息を吐き出して起きた。

『た、か、杉………』

「落ち着け。喋ろうとすんじゃねェ。息しろ。」

背中を擦りながらそう言うとAの呼吸のリズムは段々整ってきた。

とりあえず、これで安心だ。

「水持ってくる。動くんじゃねェぞ。」

Aが静かに頷いたのを見て部屋を出ると、万斉が立っていて手にはコップに入った水を持っていた。

「万斉…」

「A殿に必要だと思って持ってきたでござる。」

「嗚呼…悪ィな。」

水を受け取ると万斉がふっと笑った。

「何が可笑しい？」

「いや…晋助に愛されてA殿は幸せ者でござるな。」

俺がきっと睨むと、では拙者はこれで。と万斉は行ってしまった。

なんなんだ、あいつ…

ため息をついて部屋に戻るとAは一点を見つめたまま動かなかった。

「飲め。」

Aは震える手でコップを受け取ると、一口含んだ。

「落ち着いたか。」

『うん…ごめんなさい。高杉。私、やっぱり、ダメだよ。

高杉にも、死の穢れが移っちゃうよ。』

あはは、と乾いた笑いが静かに部屋に響く。

「…Aとなら、どこまでも穢れてやらァ。」

もう一度Aを抱き締めると、そのまま同じ布団に潜り込んだ。

『ちょ、高杉…っ！？』

「今日はここで寝る。」

『えっ。』

「なんかあったら起こせ。じゃあな。」

Aに腕枕をしてやると、少し戸惑いながら体重を預けてきた。

そして、俺の着物の裾を掴むとゆっくりと眠っていった。

…くっそ、可愛い。

過去なんてどうでもいい。お前もそうだろ。

なァ、A。