投獄104 三葉キジ視点 ページ10
『ズズンッ!』
「っ!?な、何よ今の音……一体何が起こってるのかしら…」
流河がどこかへ消えてからどれだけ経ったかは分からないけれど、ここからそれ程遠くもない所で何かが起きているのは確実で、激しい音や地響きが続いている。3010番は未だ眠っているらしく、何の反応もない
「はぁ…早く起きてほしいんだけど、無理はさせたくないのよね……たく、犬はなにやってんのよ…」
多分捕まっていないであろう犬に愚痴りつつ柵に限界まで顔を近づけて横の牢を見る。勿論3010番は見えないのだが、少し苦しそうな息遣いは微かに耳に届いた
「…早く助けに来なさいよ…このままだと、3010番が……」
ソワソワする気持ちを紛らわそうと指を絡ませるも、それだけではやはり紛らわす事は不可能で、私はうんうんと唸る
「……煩い…」
「!3010番起きたの!?」
がしゃんと音を立てて柵に飛びつく。少し苦しそうな3010番だけど何とか意識は戻った様子
「…先程の嫌な空気は消えた…だが、何かがぶつかり合ってる……」
「そうなの?3010番ってそういうのも分かるのね……」
「…その分、俺への負担もあるがな…」
そう言ったあとまた無言になる3010番。また眠ったのかと心配が募っていく
「さ、3010番?起きてる?」
「起きてる……少し休ませろ」
「あ、はい」
いつもよりトーンの低い声で言われ縮こまる私。でもすぐに3010番の方から話しかけてくれた
「…少々遠い方と近くから気配を感じる……遠い方は血の匂いがキツいが、嗅いだことの無いものだ……知り合いのものではないだろう。俺の喉に張り付いているこの札も取れれば行動出来る。ここから出られたら完全に落ち着くまで俺の背にいろ…」
「3010番…」
男前な台詞にキュンキュンさせられる私。酷いわ3010番、惚れた弱みって奴かもだけどそんなこと言われたら惚れ込むじゃない!
「…スンッ……他にも何か色々起きてる様だな……雉、お前の武器は無いのか」
「えぇ、没収されてるわ……下手に動いて怪我するのもやだし何も出来ないの」
「…なら、もう大丈夫だろ……」
「え?」
近くから何かが走る音がする。その音は徐々に近くなり、顔を上げるとそこには泣きながらこちらへ走ってくる13舎の11番とうちの82番が
「「見つけたぁあぁぁぁあぁぁああっ!!」」
「なんで泣いてんのよ!」
泣き叫びながらこっちに走ってくる2人に対しそうツッコむ。3010番はふっと鼻で笑って柵を軽く蹴ったのであった
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作者名:エルフ・シャープナー | 作者ホームページ:http:
作成日時:2018年1月25日 22時