投獄103 冥国視点 ページ9
腹の底から何かが溢れそうな程の吐き気が俺を襲う
気持ち悪い
口を抑えたくても手錠が壁に固定され動かせない。だんだん目の前も揺らいでいく
「3＿10＿＿事できる!?3__0＿＿＿＿ば！」
徐々に意識が薄れ視界が黒く染まっていく。雉の声が遠のき、力が抜けていくのがわかる
周りの空気に影響される体質は、なんとも厄介なものだなと思いながら、俺は意識を手放した
《三葉キジ視点》
「ちょっと！なんか返事してよ！3010番〜!!」
「お黙り！3010番みたいにちょいと眠れない訳？」
「3010番寝てるの!?何で!?」
「さぁ、この男の事は知らないから分からないわ」
3010番が寝てるという情報だけでも、今のアタシには鎮静剤のようなもの。ずりずりと柵から手が滑り落ちる
「良かった……何かあった訳じゃないのね」
「……普通、自分の事優先するもんじゃない？自分の担当する囚人でもないんだし…なんで？」
そう言われて不意に手に力が籠る。なんで？そんな事…
「…アンタに言うわけないでしょ」
好きだからに決まってるじゃない……。自分の担当する囚人じゃなくても、惚れた男を心配する事はごく普通のことじゃない？
「…ま、別にいいんだけど………？何か物音が…」
そう言って流河は何処かへ。そして聞こえるのは誰かの声。しかも聞いたことある
「…まさか……」
私が出られるのも時間の問題かもしれない。そう思い横の牢を見た。3010番の能力さえあればこの事件は解決できるかもしれない
ただ、能力値が高い3010番だけど大和より強いからと言ってハジメより強いとは限らない。隙を突かれれば今みたいに捕まったりするのだから
(アタシがフォローしなきゃ駄目みたいね…)
なんだか相棒みたい、なんて活気な事考えてると流河が戻ってきた
「アンタ達！こんな事して許されると思ってんの！アタシや3010番をこんな目に遭わせるなんて重罪よ！分かってるの!?」
なんて言ってみるものの、流河はガン無視
「なんとか言いなさいよ！」
「あらら〜？そんなに怒ってると化粧が崩れるんじゃないのかい？」
「うっさいわね！だったらアタシのメイク道具返しなさいよ！」
「ふふふ、嫌だね。アンタはこのままメイクがはげ落ちるまでここに居てもらうよ」
「そんなの絶対お断りよ!!」
睨み合うアタシと流河。ここで気付く
こんなに大声で騒いでたら3010番起きるんじゃない!?起きてくれた方がアタシ的にはいいのかもだけど…ねぇ？
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作者名：エルフ・シャープナー | 作者ホームページ：http:
作成日時：2018年1月25日 22時
