投獄101 冥国視点 ページ7
「…チッ」
小さな舌打ちをしながら、気が付けば着けられていた四脚に付けられていた手錠を睨む。何か分からんので無闇に動かせない
こんなものがなければ真っ先にアイツらを迎えにいくのだが…
「…ねぇ、まさか横の牢に他の人が捕まってたりする訳?居るなら返事してくれると助かるんだけど」
「…その声は…雉か」
「いるのね!あー良かった、こんな所にこんな枷付けられて1人で居るなんてまっぴらごめんよ!その声からして3010番?」
「…貴様も捕まっていたのか」
「ちょ、元気ないわねぇ、こんな時こそ空元気になるべきじゃない?」
「……イラついている。それ所じゃない」
言霊も喉に付けられた札のせいでまともに使えない今。苛立ちが募らないわけがない。だがそれを知らない雉でも、俺の怒りを感じ取り少し静かになった
「…あんたも災難ね、何でここに来たの?」
「昨日の件で大和が此処に世話になったんでな……挨拶代わりに事情を聞こうと思った」
「アンタってホントに幼馴染想いね…っと、それ所じゃないわ。此処から逃げないと3010番が一番危ないのよね…」
「何故だ。俺があの男になにかしたのか」
「したっぽいわよ?あんたの事【無限の罪人】とか言ってたけど……あれ何?」
「……さぁな」
そう言いつつも俺は自分の手の甲にある【∞】の文字を見る。無限の罪人……か、懐かしい二つ名だ
「兎に角、ジューゴが此処に来ない限り俺達は此処から出ることは不可能だ。アイツらを待つしかない…」
アイツらならジューゴが居る限りどんな罠でも鍵でも、すぐに突破できるだろう
「ねぇ3010番?聞きたいことがあるんだけどいいかしら」
「…今だけだ」
「そう…じゃぁ聞くわね?貴方、五年前か六年前に脱獄した囚人、No.∞よね?」
一瞬だけ警戒した空気が漂ったが、本当に一瞬で、すぐに消えた
「貴方が居た時は私は残念だけどその場に居なかったし、地下牢まで態々行かないから貴方の顔を見ていないのだけど、あの猿鬼が興味持って面会しに行くって聞いてたから少しは知ってるのよ……。仮面付けてるって聞いたんだけど」
「…待て、仮面を着けていたのは事実だが、それより気になる事を発見した」
「やっぱり本人なのね…で?何を発見したの?」
俺は手の甲を見る。見えにくい様に袖の長いものを着て手の甲をなるべく隠しているのに…
「…彼奴は、どうやって俺だと見抜いたんだ?」
あの時俺の素顔を知っていたのは大和のみ。なのに、何故…
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作者名:エルフ・シャープナー | 作者ホームページ:http:
作成日時:2018年1月25日 22時