投獄113 冥国視点 ※性懲りも無く書き方がまた変わりました ページ20
視界が暗く、何も見えない。いつもそうだ、神々に体を貸すと力も入らないし何も見えない。それに…貸した後は数日動けないのが当たり前だ
「…そのくせに、外でやってることはわかるんだな」
目を開いても見えないはずなのに脳内に移る猿鬼達の姿はとても真剣で、客観的だが凄い状況なのはわかる
「暇なのか?」
「!?」
真っ暗な視界に一人の人間が現れる。それはあの時、ジューゴと話をしていた金髪の男がいた。ニタリと笑いながらもその瞳には余裕がないのがうかがえる
「……
「だって、お前は大切な【実験体】だからな。記憶は勿論、ジューゴと同じ存在なわけだ……まぁ、神サマがお前を守ってるなんて全くわからなかったけどな」
「……で、あの時以来初めて俺の前に現れたが要件はなんだ」
そう言うと金髪の男は「話が早くて助かる」と言って俺に近づいた
「憑依、解いてくれ──
「却下だ」
…まぁ聞けよ、お前に悪い話じゃない。俺はただお前を解放してやりたいんだ」
どこか裏のありそうな笑みに俺は警戒を解かず睨みつける。相手は少し困ったように眉を寄せて話を続けた
「神が憑依したお前には、残念ながら悟空猿鬼は適わない。適わない所かきっと一発KOだ。そしたら…お前はまた【一人】かもな?」
俺の心境を知ったかのように笑う男に俺は真顔で見つめた。一人なんて生温い。独りだからこそ、人は恐怖を覚えるのだ
「その程度で俺を揺さぶった気になっているのなら、一昨日来やがれと言わせてもらおう。生憎一人には慣れている上に貴様程度の脅しでは動かん」
「……お前がどんなに抗っても、運命ってのには逆らえないんだぞ?守りたいものだって守れない、自分の力も制御できない。そんな状態で何が出来ると思ってるんだ?」
頭に響く声で訴えてくる男に俺はめいいっぱいの殺気を込めて睨みつけた。男は一瞬怯み、その姿は残像の様に歪んでいく
「神が貴様に気付いたようだな。どうやって神の眠る筈のこの場所まで来たのかは知らないが……まぁ、貴様の力は認めてやる」
「……神が憑依を解いたら、じっくり【俺】にしてやるからな…」
最後に捨て台詞を吐いて消えた男に俺は気を弛めた。あの男が来てくれたから色が映えたが、消えたことによりまた真っ暗だ
「…映像化とかで表の現状が見れるようにしてほしいな」
そうボヤきつつ、俺はまた目を閉じた
57人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:エルフ・シャープナー | 作者ホームページ:http:
作成日時:2018年1月25日 22時