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投獄111 神視点 ページ18

Aが邪なる者を身体に宿している事は、Aと契約を交わした神々全員が理解していた。メルヘスに調べさせたが、【それ】がAの身体を操ること以外の情報がまだ得られていない

故にわしはAの身体を借り、この事を終わらせる。そして、Aと同じ居遇である鬼と呼ばれし人の子と、刀を宿せし人の子の中にあるAと同じ【なにか】を取り除くのだ。そうすれば、次はAに力を割り当てられる

「…何とも、哀れな存在よ」

Aと同じ物を身体に宿す刀を宿せし人の子は自我を奪われた。Aの日記にあった【新年大会】なるものと同じであろうか

「…ちょっと聞いてもいいかしら」

「何用だ、人の子よ」

「……貴方、誰?」

意外な言葉にわしは目を見開いた。そしてすぐに口角を上げ「A」と名乗る

「あんたが3010番なわけないでしょ?ねぇ、本当のことを言ってみなさいよ。貴方は3010番じゃない、他の誰か…そうでしょう?」

「ふっ……人の子とは面白い。愛した男のことなればなんでも知りたがるか」

「なっ…やーだー!皆の前でカミングアウトとかどういう事よー!」

ばしばしとわしの背を叩く人の子を止めた犬と呼ばれし人の子がわしを睨む。先程Aに治療を受けていたものだ

「…634番が言っていた【神憑き】とお見受けする。ならば…貴方は神なのだろう?どの類いの物だ」

「ギリシャ神話の者としかAは契約を交わしてはいない……強いて言うならば、わしは全知全能を司る」

「!ゼウス神か!」

「あら、3010番大層な神様と契約を…まって。契約って何?」

「それはAから聞くがよかろう。わしから話してAに後々怒られるのは避けたい」

神とて想わせるとは何とも罪な男よ、と付け足しわしはくつくつと笑った。女好きのわしを、ここまで心酔させるなど…あぁ、まこと愛い男よ

「3010番の許容範囲広くねぇか」

「動物からも好かれやすいのにまさか神様からも好意持たれるとはな」

「え、彼奴すげぇ」

「やだー、神様だからってわたし手加減しないわよ?」

「それはどういう意味で?」

「色んな意味よ。3010番は渡さないんだから…あんた達もよ!」

看守と呼ばれる仕事に就く人の子らの話を聞いていると笑いがこみ上げる。この身体はAの物、心でAが笑っているのであろう

(お主も、やっと幸せになれる場所を見つけたようだな)

オリュンポスに連れて行ってしまおうかとも考えたが、その必要は無さそうだ

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作者名:エルフ・シャープナー | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2018年1月25日 22時

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