投獄109 冥国視点 ページ16
お前は知っているか?俺が何故【化物】と言われていたのか
【それ】は確かに化物地味た物だ。でも、それを俺が望んだのだから仕方のないこと
だから、お前が悲しむ必要は無いんだ
そうだろう?大和…
───────
俺は瞼を閉じた。八戒を援護しながら俺には何が出来るかを必死に考える為に。そして、最終的結論に至る
嫌で嫌で仕方ないが、我儘は言っていられない。【誰】だったらこの状況を打開できるか、考えても考えても【アイツ】にしかならないから俺は覚悟を決めた
「───貴様に、俺の体を貸そう。その分、沢山動いてもらうぞ」
〈ほぉ……この──に身体を貸すというのか、Aよ。お主が最も嫌ったこの──に〉
「いまはそんなこと、言ってられないんだ……。早く動け!」
脳内に響くアイツの声を聞いていると徐々に意識が薄れていく。目の前がぼやけ、視界が暗くなる瞬間、目の前をゆらりと揺れる長い髪が見えたきがした
《八戒猪里視点》
「うぉっ!」
グラりと地面が揺れ、体勢を崩し尻餅をつく。「いてて…」なんて言いつつ腰をさするが、俺が不意に見た先に、驚きの光景があった
「おいおい、大分印象変わったな…」
俺の見た3010番は青から白へと変わるグラデーションの髪が地面スレスレまで伸び、綺麗な緑色だったはずの瞳は真っ赤に染まっていた。パッと見じゃ3010番だとは気づけないだろう
「…調べ通りだ。その様子からして【ゼウス】と見てとる」
「ほぉ…Aの事を調べ上げたか、鬼と呼ばれし人の子よ…」
脳に響く様な声にゾクリと背筋に何かが駆け抜けた。【こいつ】は3010番じゃない…別の誰か
「鬼と呼ばれし人の子よ。お主はなぜAに情を移す?この身体が我々神々の思うがままにされるのが憐れと思ったか?それとも……お主と同じ居遇であるからか?」
3010番の姿を借りた別の誰かが言う言葉が俺には分からなかった。だが、猿鬼さんの表情はみるみる変わり、本当の【鬼】の様に【そいつ】を睨みつけた
「その男までも【あの男】は侵食していたのか……!なぜ貴様はそれを防がなかった!」
「あやつが望まなかったから……いや、望めなかったから……と言った方が正しいであろう。あやつの記憶は特殊、あの者達が望む理由も分からなくはない…。我ら神々は、あやつが望まなければ何も手出しは出来ぬ」
憂いを帯びた瞳に揺らぐ光。それはいつも見る3010番の姿で、俺は何が何だか分からなくなった
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作者名:エルフ・シャープナー | 作者ホームページ:http:
作成日時:2018年1月25日 22時