知らない ページ5
教室に入ると、美香はまだいなかった。
ただ一人、座っている人間。
「……ヒサカ」
そこにいたのは、紛れもなく
彼はわたしを一瞥し、目線をそらした。
わたしがそこにいない、とでも言いたげな反応。
氷坂に向かって文句を言おうと、口を開いた瞬間、氷坂はわたしを直視した。
そう、それだけなのに。
わたしの中にあった怒りの感情は消えていた。
凍結してしまった。
「何」
わたしが名前を読んでからしばらく時間がたっているというのに、そんなこと気にしない、と
いう態度で言う氷坂。
語尾にクエスチョンマークは絶対につかない、無感情な言い方。
わたしはその目を見て、何も言えなくなった。
どうしようか困って、その場に立ったままのわたしを見て、
「……すべては流れのままに。ササハラさんもいつかわかる」
意味不明だ。
わたしがその意味を問おうとすると、
「おっはよー、レイ！」
美香が元気よく教室に入ってくる。ひまわりのようなまぶしい笑顔だ。
「おはよ、美香」
わたしも笑顔で答える。
そんなわたしを、氷坂はただじっと射るように見つめている。
それに気が付いた美香が
「何、
と聞くが、当の氷坂は答えない。
「レイ、氷坂に何か付きまとわれたりしてない？」
心配そうに尋ねて来る美香に、わたしはただ、首を横に振った。
だってこれまで、氷坂と関わることすらなかった。
急に向こうから関わってきたわけで、別にわたしは何もしていないのだ。
「うーん、何か理由があるんじゃない？」
美香はそういうけれど、わたしは知らない。
でも、後で氷坂がつぶやいたのをしっかり聞いたんだ。
「一グレード上の先輩に気をつけろ」
って言ったのを。
そして、その予言は見事に的中したんだ……。
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陰月。(プロフ) - まりもさんだぞっ(*`･ω･´)さん» 今更コメントお返しすみません。そうですね、あまり表情についての描写がないので取り入れていこうと思います。アドバイスありがとうございます！ (2018年11月4日 18時) (
レス) id: 83a189451f (このIDを非表示/違反報告)
まりもさんだぞっ(*`･ω･´) - イベント参加有難うございます!、オリジナルとは思えないしっかりした設定がグットポイントです。あと私が思った事なのですが、表情も文に取り入れて見ては如何かがでしょうか?例えば、わざとらしい程に眉を垂れ下げた__とかですかね。投稿これからも頑張ってください! (2018年8月21日 4時) (レス) id: ec47b1a578 (このIDを非表示/違反報告)
陰月。(プロフ) - ファリスさん» コメントありがとうございます<m(__)m>アイデアはなかなか思い浮かばないので、かなり更新遅いですよ。文才も普通です(^^;土下座してまでお願いしないでいいですよ。誰もが個性を持っていれば、それは魅力的な作品ですから、ファリスさんも個性を持っていますよ。 (2018年8月7日 18時) (レス) id: 6b87a378ce (このIDを非表示/違反報告)
ファリス - 情報学がテーマの作品をはじめて読みました。オリジナルで書けるの凄いです！私にそのアイデアと個性、文才を分けてくださいお願いします( ﾉ;_ _)ﾉ (2018年8月5日 16時) (レス) id: 6040f0caed (このIDを非表示/違反報告)
陰月。(プロフ) - アレンさん» コメントありがとうございます。本当ですか？とても嬉しいです！ (2018年7月22日 16時) (レス) id: 6b87a378ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：陰月。 | 作成日時：2018年4月21日 17時
