情報学専門学校【アイビス】

目的は？ ページ19

とりあえずできることと言ったら、今は荒波の顔を見つめ返すことくらい。
「もしかしなくてもさ、君は何でここに連れてこられたのかを知りたいんだよね？」
そりゃそうだ。
誰だって急に拉致されたら驚くかとりあえず理由を聞くかはするだろう。

「まあねえ、こういっちゃ悪いんだけど、君のことが好きなんだよねえ」
「は？」
「だから手っ取り早く僕のものにするには拉致でしょ？だってもう、そこから逃げられないように
すればいいわけだし」
「良いわけないじゃないですか」

こんなヤバそうな思考回路の持ち主だったとは。
こうなるとわかっていたらもっと気を付けたのに。

「アハハ、君って面白いね。ますます手放せなくなるよ」
これが口説き文句なら脅しに近い気がする。
絶対に、ここから出るなとでも言われているみたいだ。
「もちろん逃がさないよ」

私の悪い癖だ。
考え事をしているとつい口に出してしまう。
だから、何を考えているのかは大体相手にまるわかりだ。


「別にいいんじゃないかなあ。今の君ってすっごい魅力的だし。あ、なんなら結婚する？」

どこをどうすれば結婚なんて言葉が出てくるのだろう。
色々とぶっ飛びすぎてもうわけがわからない。



「とりあえずさ、今日の所はもう絶対に帰れないよ。夜遅くに女の子一人で歩いていたら変な人に声かけられちゃうし、そうしたら僕の玲香ちゃんが汚れる」

この人はやばいのレベルを超えている。
ただの……ん、こういうのは何て言うんだっけ？
とにかく、ただの変な人なのではないか。

「しっかし君の友達……美香ちゃんだっけ？」
今度は美香まで狙われるのだろうか。
「いいや、別に。ただねえ、彼女は鋭すぎるなあ」
何が鋭いというのだろう。毒舌ではあるけれど。
「君に手を出すなってさ。まったく……まあ、僕のほうが速かったけどね」
「とりあえず、出してくれません？」
「嫌だよ。っていうかダメに決まってるじゃん」

ダメもとでお願いしてみたけれど却下された。
……どうすればいいのだろう。

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