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十四 ページ15

お母さんたちが帰ってくる前に、わたしは夢の世界に入っていた。


と言っても、あまりいい夢は見てないかな。
何か知らないおっさんに追いかけられるというショックな夢だった……。



漫画の世界だったらここでイケメン君が……なんてしょうもない妄想は終わりにして。
眠くてだるい体を引きずって、学校まで歩いていく。
「あ、さくら」
まだ四月だというのに、異常に熱い朝。
長袖の制服の袖を折って、なぜかうちわを持って歩いているさくらがいた。

「あ、紗月。おはよう」
今日は暑いねー、と太陽に向かって恨めしそうに言う。
「おはよう。朝からうちわを仰ぎながら登校する女子中学生って珍しいよ」
「そ、そうだよね。じゃあ扇子の方がいいかな」

そう言いながら、背景が星空に満月が浮かび、桜吹雪の模様が派手な扇子を取り出した。

わたしたちの脇を通る生徒が、驚いて二度見していく。





わたしは思わず
「……ねぇさくら。その扇子が自分の名前からとったのはわかったから、とりあえずしまわない?」
「そ、そうだね」
周りがドン引きしているのを察してか、すぐにしまう。

「あれ、紗月達?」
「藤崎さんじゃん、おはよう」
「おはよう」
人見知りが発動したのか、静かになるさくら。
「結城さんだよね? そんな硬くならないでいいよ。」
「あ、え、うん」

あたふたするさくらの代わりに、わたしが藤崎さんと話した。
「水桃社に応募したんだっけ」
「うん。あ、そういえば、体調大丈夫?昨日休んでたんだよね」
「もう全然平気!あ、そうそう。さくらちゃんってイラスト描くんだっけ?」
「うん、描くよ。下手の横好きっていうかな、あまり上手じゃないけど」

藤崎さんはにっこり笑って、
「いや、さくらちゃんのイラストってすごいきれいなんでしょ?うちのクラスの梨井奈が言ってた」
「梨井奈!?」
わたしとさくら、同時に叫んでいた。
「そうそう、って何でそんな驚いてんの。梨井奈がさくらちゃんのイラストを見たんだって。
とにかく綺麗だったって、無口なあの子にしては珍しく興奮してるっぽかった」

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うたは(プロフ) - 陰月。さん» わざわざ返信ありがとうございます。ううん、なんでしょう。私からすると多いなあという印象なのですが、陰月。さんが書いていて心地よいならこのままでも、と思います。指摘した身だというのに申し訳ございません。これからの御活躍お祈りしています。 (2019年2月17日 17時) (レス) id: 14b840c6a0 (このIDを非表示/違反報告)
陰月。(プロフ) - うたはさん» 今更の返信すみません。やはり開業が多い方が読みやすいでしょうか?少し多めにしてみます。わざわざありがとうございます。 (2019年2月17日 11時) (レス) id: 83a189451f (このIDを非表示/違反報告)
うたは(プロフ) - はじめまして。このお話好きです。が、すみません、文の途中での改行が些か読みづらく感じました。これからも応援してます。頑張ってください。 (2019年1月20日 23時) (レス) id: 87a0c9cf89 (このIDを非表示/違反報告)
陰月。(プロフ) - コノハ【心葉】さん» コメントありがとうございます<m(__)m>気づくのが遅くなってしまいすみません(-_-;)夢が小説家、とはっきりしていていいと思います。 (2018年12月29日 19時) (レス) id: 83a189451f (このIDを非表示/違反報告)
コノハ【心葉】 - 私の夢が小説家なので、なんか、元気付けられました。 (2018年11月14日 17時) (レス) id: bac5683ead (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:陰月。 | 作成日時:2018年3月22日 16時

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