逆さまの世界

＊ ページ3

「え？」
「だからさ、先生が言っていた、二つの世界って本当にあるって思ってるの？」
正直なところ、私ははっきりした答えを持っていなかった。
「わかんないよ」
「じゃあ何で調べようと思ったの？」
そりゃ、もちろん不思議な感覚があるし、謎に迫っていく姿がかっこいいと思ったから。

「玲香も夢見がちな少女じゃん」
「……バレた？」
確かにそうだけど、気になるものは気になる。
「まあいいや。とりあえず、この先を後五分くらい歩いたら祠の前に出るよ」

後五分か。って、
「え、もう？」
「まあ、祠は花舞市のすぐ近くだから」
通りで花舞市よりの道を歩いていると思った。


「で、このおんぼろでちんちくりんな建物が祠？」
「おんぼろでちんちくりんってどういうことよ」
「見ての通りじゃん」
どう考えても、百年以上前に建てられたような建物。
いたるところにクモの巣が貼りついていて、シダが巻き付いている。

この祠、何だか不気味だ。
「あ、玲香もそう思った？」
「うん。勘だけど、あまり長居しちゃいけない気がする」
そう言って、踵を返そうとした、その瞬間だった。


突然、祠の扉が開き、中から人が飛び出してきた！
「うわぁぁぁ！？」
「きゃー！？」
あまりに急なことで、二人とも思考回路が停止している。
慌てふためく私たちを目の前にして、その人は言う。

「君たちも、こっちの世界に来るがいい」



次の瞬間、私たちはそろって意識を失った。
意識を失う直前に見えたのは、飛び出してきた人が笑う顔だった。

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